RICOH 500
hottyさんからいただいたアメリカ帰りの貴重なカメラ、いろいろ壊れてはいるが、レストアに最適レベルかもしれない。



まずシヤッターが作動しないで固まっている。前のリング状のカバーのイモネジを3本緩めると(外してはいけない)カバーが外れ、簡単にシヤッターや前玉にアクセスできる。



それほど複雑ではない
。あまり見ない形のシヤッターだが、故障は単なるシヤッター膜に油がついていたためで、洗浄と注油で回復したが、シャッターリンクがだいぶ油切れで、異様に重い。注油しても改善しないので、これは軍艦部の変形のためと判断した。右に見える飛び出したピン穴は、シンクロ接点の切り替えだ。
左右のレバーはヘリコイドのノブ、シーソー式で、位置でおよその距離がつかめるから、使い込めば便利だろう。



軍艦部は比較的単純なつくりだが、材質や構造は良くできている。二重像の調整も簡単にできるのは良い構造だ。軍艦部はネジと接眼レンズ、巻き戻し軸の下の大きな受け皿、アクセサリーシューの前側のネジを外せば分解できる。この個体はアクセサリーシューが上からの圧力で変形していたので、たたいて直した。その他の部分にも変形があり、シヤッターは完全には軽くならなかったが、まあ使える。



板金したり、細かい掃除をして完成。トリガー巻上げはとても速射できるほど軽くは無い。注油して多少軽くなったが、あまり使いやすくは無い。ルックスはなかなか良いとおもうのだが。



全体に大柄で、持ちやすくてぶれしにくい。輸出用らしくアメリカ人好みのスタイルだろう。EV方式に近くて、シャッターリングと絞りは連動するが、絞りだけなら自由に変更できる。この形式は使いやすいと感じた。

hottyさんに感謝しつつ、何はともあれ一本撮ってみた。

試写へのリンク



AGAT 18K

あちこちで紹介されているAGAT18K(瑪瑙という意味だそうだ)である。
オモカメ同然のボディーに、インダスターというアンバランスな組み合わせで、「時々すごく写る」と言うのが評判である。JFCでも何度も話題になっていたのだが、不思議に縁が無かった。

先日、tibikoronさん(hottyさん同様、大事な仲間である)がこれを発表した。写真がなかなか良くてうらやましいなと思っていたら、使ってみないかと悪魔のささやき、速攻で乗ってしまった。これが地獄の一丁目だった・笑



初めて現物を見た。あまりのチープさに思わず笑った。しかしよく見ると、ハーフ判なのにゾーンでない距離合わせ(くるくるに回ってしまう)絞り変更(絵文字と数値両方あり、ただし数値はどこにあわせるのか不明)がついている。単なるオモカメでないのは、レンズが異様にきれいなことからも感じた。



tibikoronさんによれば、遮光対策は不十分とのこと、思い切ってすべての合口にごく細く切った遮光紙を入れることにした。結果としてこれが功を奏することになった。
ついでにレンズ鏡筒周りにも細いのを入れた。これでガタが無くなり、ピントを固定しやすくなった。
ちなみに、感度設定は25−1600まであるが、あくまでこれはインジケーターである。これをあわせた後に、お天気マークに合わせると、大体良好な露出になるはずである。考えてみれば、マニュアルが好きな私には好都合な構造だ。これでシヤッターが単速では無くて3段階ぐらいあれば最高だが贅沢はいえない。目測ではシャッターは1/100程度であろうと思う。ただし、絞りを兼ねるので、暗いところではせいぜい1/30程度と思う。高感度フイルムなら結構使い道が広いだろう。試写の結果からは露出が結構少なかったので、お天気マークには従ったほうが良いと感じた。

★シャッターについて、「ようじさん」から以下のご指摘あり。お詫びして訂正いたします。

ご説明で、シャッター速度が単速とありますが、手動プログラム式に、絞りとの組合せが、1/30〜1/500まであります。



重さ130g(ネックストラップつき・実測)、大きさもこのとおりだから、持ち歩くのには最適だ。これでしっかり撮れるのなら最強のお出かけカメラだ。一巻レフ用のレンズ一本にも満たない軽さは手ぶれの元であるが。

と言うことで、モノクロを入れて、勇躍撮影に出かけた。ところが途中でシヤッターを切った後に巻き上げようとしていやな感触あり。ゴリッと言う感じで手ごたえがして、後は巻き上げもシヤッターもまったく作動しなくなった。

来たか!と言う感じである。ダークバッグでフイルムを外して調べてみると、取り外し式の巻上げリールが空回りしている。大きなトルクがかかるとここが削れて、シヤッター破壊やフイルム切断を防ぐフールプルーフになっている・・・はずがない!

よく観察すると、二枚のシヤッター羽がどうもしっかり戻っていない。ビハインドシヤッターなので、軽くつついてみると、カチッと収まり、後はまったく異常なし。そこで巻き上げスプールを接着して、もう一度フイルムを入れると、また同じ症状が出た。

結局、シヤッターが「少し」粘っているとわかった。分解すると後がどうにもならない感じなので、白い粉を入れることで、ごまかしてみた。ただいま追試験中だが、その間の半端な写真も一応写っていたので、下記のリンクから見られる。

試写へのリンク

しかし、このカメラは楽しい。誰に見せても警戒されないし、小さく軽く音も小さい。ノーファインダースナップなんかに最適だ(覗き用に使ってはいけない)。ということで、ただいまネガカラーを写している。結果が出たらこれも追加しておく。



Certo DollinaU

以前から気になっていたカメラである。変わった形が多い会社だと思っていた。35oも独特のものがある。しかもレンズが「ラディオナー」と来たから物欲が動いて買ってしまった。

ジャンクの理由は、距離計とシヤッターの不調である。



矢印のところがミラーを動かすカムとアームだが、ここがずれていた。下から上がっているレンズボードとのリンクがうまくいっていないので、すべてばらして調整した。目測機に後から上に露出計を載せて連動させたので、リンクに無理があるのだろう。この辺の作りはあまりほめたものではないが、1930年代のものと考えれば、これも高級な仕様だったことは間違いない。



この前から見たところが特徴で、レンズボードを前後してピントを出す仕掛けである。



各部の作りはよく、とても70年たつとは思えないコンディションである。早速何はともあれ写してみようとした。
しかし、ここで大きな落とし穴が待っていた。こちらをごらんいただきたい。



なななんと、盛大に光線曳きである。蛇腹はしっかり点検しているから光線漏れは無いはず。
おそらく裏ブタ周辺だと思うし、それしか考えられないが、この辺の工作はしっかりしているので不思議だ。
しかし、使い心地は悪くないので何とかしたいと思っている。リベンジが成功したら、改めて写真へのリンクを張ることにする。

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