ROLLEICORD 2 Type2

私がこのサイトを開いた頃、ほとんど同時にローライ二眼レフに特化したサイトを始められ、相互リンクして励ましあっているろーらい庵さん、そこでお知り合いになった「ととろさん」のコード2である。



実は、ほとんどの機能には問題がない。しかし、これのテスト結果はトリオタートしてはどうも今ひとつである、ということで整備を引き受けることとなった。定評があるカメラで、ほぼ同じレンズで色々写しているだけに、疑わしきはレンズのみである



典型的な前玉。ちょっと見ただけでは特に問題があるように見えなかった。



よくよく見ると、カビと汚れがある。犯人はこれだろうか。



清掃開始。思ったより汚れが強い。全体に汚れが広がっていて、平均化してわかりにくかったのだ。



両面を磨いてすっきりした。後玉も同様の作業を行う。



好調なシャッターだが、ついでに清掃と給油をした。内部はきれいだ。



ピントグラス周りも分解清掃。ミラーはしっかりしていて交換の必要は無い。



機能は良いので、オーナーに確認の上、磨り減ったりぶつけて剥がれた塗装の修復を開始した。特にウラブタの横は使い込まれて塗装が消え、ぶつけた傷も多い。サファイアファイルで平滑化させる



塗装中の図。ハケムラが出やすいので前板周りなどは特に注意が必要だ。いかにも塗りましたというのではせっかくの作業の意味が無い。
タッチアップにははけムラが出にくいウレタン系の水性塗料を使う。油分が付着していると確実にはじいていしまうので、先ず全体をアルコール入りのウエットティッシュで拭き、ベンジンでもう一度拭って清掃する。
以後は塗装するところに素手で触るのは絶対に禁物。ハケではなくコットンチップにごく薄く薄めた塗料で何度も繰り返して塗り上げる。根気が要る作業だ。
ついでに擦り切れてきている皮の塗装も行った。ピカピカにしては全体のバランスがちぐはぐに成るので、軽い艶消しにしたが、この方法は書かない。水性塗料で本皮を塗るのは本来は禁じ手である。公開する性質の作業ではないので割愛する。



最近製作したシャッターテスターで確認してみた。バルブとタイムはセットしないで動く旧コンパーだが、この数字は素晴らしい。ズレが少なく、ばらつきも極めて少ないので、どのシャッター速度も問題なく使える。デッケルの底力を見せられた気がする。

記録には入れていないが、内部には反射防止の遮光紙を貼り付けた。全面ではなく、反射がきつい部分限定だが、コントラスト向上には強い味方になるはずだ。バッフルの無い二眼レフで、逆光に弱かったりコントラストが低い時には有効な方法だ。フードなどと同様、やって良い処理だと思う。PLフィルターなどと違って、「無いものを持ってくる」でないから。



すっきり完成。ここから数ヶ月じっくり乾燥させて、少し磨けば完璧だ。

《試写》

つれづれ絵日記にて何枚か発表済みだから、未発表のものを掲載する。作品ではなく、テスト結果としてごらん頂きたい。フイルムはいつものアクロス



非常にコントラストが出た。作業は成功したと思う。



わずかに周辺は落ちるが、まずまずトリオターの性能は出たようだ。右の影は遮光紙による(レタッチ済み)



開放で近接撮影。きらりとした光が無いから写真としてはボツだが、描写の素直さはわかると思う。三枚玉でもこれだけ出れば良い。

☆お預かり物だけに、いつもよりしっかり慎重な作業をした。トリオターらしさを取り戻すという結果が出てうれしい。


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