FUJICA V2>
JFC会長、HIROAさんのベストカメラ、FUJICA V2
いつかは写してみたいと思っていたら、三枚玉連合総帥のナンマイダーさんからレストア依頼が舞い込んだ。仲間の掲示板でのSOSに応えたのだが、そこへ関西のドン・BIN組長さんからジャンクの提供をいただいたので、ナンマイダーさんの2台と合わせてレストアということになった。
分かりにくいので、3台の状況を表にまとめてみた。
名称 | 外観 | シャッター | 絞り | 露出計 | レンズ | その他 |
ナンマイダ1 | 下・錆あり | 低速不良 | 良 | 不良 | 良品 | 汚れと錆が多い・ボロケース付属 |
ナンマイダ2 | 中・少し錆あり | 良 | 不良 | 不良 | 美品 | ピントズレ・ボロケース付属 |
BIN | 中・少し錆あり | 良 | 欠品あり | 良 | 白内障・組付不良 | ジャンクとしてはきれい |
BINさんのものはジャンクワゴンで見つけたそうで、前玉は向こうが見えないほどのカビでコーティングももちろん痛んでいる。誰かが分解していい加減に組んだらしく、スクリーンテストしたがピントが出ない(後で何とか修復できた)。これはスペアにならざるを得ない。その他の二台にもいろいろ問題があり、本体はナンマイダ2とBINモデルを使うことにして、平行して分解した。もちろん古いカメラだから、ここに書いてない細かい整備は全てにある。
今回ほど贅沢なレストアはないだろう。分解して不具合を見つけるたびに正常動作の方を調べて、それに合わせてゆく作業となった。

手動絞りの不調が先ず解決すべき問題となった。正常と比較すべく同時に開いてみた。

シャッターはシチズンのMLTで、あまり見た事がないが標準的な作りだ。1/1000秒まである。
矢印のところが絞りレバーの連動部分。幅は数ミリなのでピンセットは入らないから、前からの作業はほぼ不可能だ(1台は前から強引に組んだ)

レンズ鏡胴は後から簡単に外れ、ケーブル類がないので整備性は極めて良い。オート時の絞りもここから連動している。

問題の絞りの連動部分(正常位置)。絞りリングはレバーを動かすのだが、それと内部レバーはバネで連携されている。絞りが粘っているのに無理にまわすと、バネが無理に伸ばされ、外れてしまうわけだ。オート位置にすると内部の連携が外れて絞りは全開になり、露出計の針が押さえた位置まで絞り込む巧妙な構造だが、これでは古くなると外れてしまう恐れがある。
リングを外して適当なバネを作り(もう一台は掛けなおし)、わずかなすき間から掛けなおして、接着剤で外れ止めを施した。もちろんシャッターや絞りの粘りは先に清掃した。

下部は簡素なもので、特別な仕掛けはない。

距離計はパララックス矯正の為に前玉が動くタイプで、プリズムを使った豪華なもの。フレームやシャッター速度、絞り値が読める。ナンマイダ2はきれいだが、残りの二台はプリズムの接合面が黄色くなっていて、目の位置によっては画面が見にくい。左に見えるギアは巻き上げを直角に変える部分で、このおかげでピント合わせなどのデバイスが入るスペースができる。
ヘリコイドを動かすのはマミヤ6と同様のバックフォーカシング。素早く操作できて使いやすい。

ついでだから壊れかけていたケースを補修した。これはミンクオイルをかけた後の陰干し中の図。
これにて二台完成、もちろん錆落しと全体の清掃や距離計調整なども行って、めでたしめでたしとなった。

こう見ると、さすがはこの時代の代表機だ。立派な外観である。操作が右に集中しているので、シャッター速度変更以外に左手の操作がなく、左手はカメラの安定に努めることになる。
《試写》
少し曇ったいつもの港などで写した。ネガカラーはコニカ・センチュリア・スーパー100。




予想とは少し違うが、なかなか良い色だと思う。やはりこれには富士フイルムを使うべきだろうな・笑




モノクロはアクロス。露出計は正確で、ほとんどの場合に補正は不要だった。
文句なしの良いトーンだ。さすがは怪鳥のベストカメラだと思う。今後も使うこと間違いなしだ。
BINさん心配りいただき、ありがとうございました。ナンマイダーさん楽しいカメラをありがとうございました。
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