カメラレストアのページ 0


《レチナU》

月並みだけど使いやすそうなのと、大きさが気に入った。機種が豊富でいろいろ出回っているので選びやすいが高い。 当然ジャンクを狙った。オークションで13Kで落札、機能的にはまったく問題ない・・・かな。


基本機能は特に問題がなかったが、ふたの部分の革張りが全て無い。レチナにはここに独特の筆記体で[Retina}と 型押しされていて、大きな特徴になっている。オークションでジャンク扱いだったのは、まさにここが理由だ。
写真には裏から撮ったロゴが復刻候補として貼ってある。もちろんこの状態で外に出すわけではない。
似た皮を探すことから始まった。オリジナルは比較的柔らかな、シボの薄いものなので、母の古いカバンの皮を拝借した。
腰が無いので張るときに自由が利くが、模様を型押しするには少し薄い。色はほぼ同じで違和感は無い。


オリジナルの書体を探した。軍艦部のものは硬く細いので、使えない。背面のものがふさわしいのでこれをデジカメで 撮影し、モノクロにしてコントラストをあげ、反転して浮き彫りのようにする。これを透明名前用などの糊付シールに印刷する。


陶芸用の粘土を平らにし、少し固めてからシールを張る。シールの上からボールペンなどでトレースすると、骨書き(線のみ) ができる。少し乾かしてから線の幅などオリジナルを見ながら彫りこむ。


押しても動かない程度に硬くしてから周りに粘土で土手を作り、エポキシ系のパテを流し込む。硬化したら離型する。 残った粘土は水で洗えば完全に取れる。


細い線には必ず気泡が入るので、パテでレタッチしたあと印面の高さや線の幅などを根気よく修整する。これで押し型が 完成だ。


一回り以上大きく切った皮を完全に水に浸す。軽く水を切って型・皮・ゴム板・かまぼこ板の順にサンドイッチし、 万力にはさむ。型が壊れない程度に強く締め、二昼夜ぐらい乾燥させる。途中少しまし締めすると良い。 (皮のウエットフォーミングの応用テクニック)


完成。あとはカメラにゴム系の接着剤で貼るだけだ。少し線が太くなったが、オリジナルの雰囲気は出ていると思う。 エポキシで作った型は何度でも使えるので、納得ゆく結果が出るまで試作を繰り返すことができる。
ちなみに、この写真はテスト用のハギレで、現物はただ今乾燥中。

この方法にたどり着くまで何度もいろいろな方法に挑戦したが、これが一番結果が良かった。
シボもこの方法でつけることが可能だ。ただし、型取りと彫り込みには慣れが必要なので、もし試したい方は掲示板か ら問い合わせされたい。

《こつのこつ From E-Mail》

皮の性質やエッチングテクニックなど結構大変です。私は陶芸を教える人間で、粘土になれているのでこの方法をとりまし たが、他の方法もあると思います。
何回か挑戦されれば、次の方法で製作できると思います。お試しください。

@皮は厚いほど効果がある。許される限りの厚いものを使うと楽
A型は強度さえあれば材質はかまわない(エポキシ系接着剤で硬化時間が長いものがお勧めです。 短時間に固まるものは硬度が低く、押したときにつぶれます)
B粘土を使うのは加工が楽なのと、乾くことで多少(完全乾燥で2-3パーセント程度)小さくなるので線の太さが 太くても修整できる。乾燥後に水で洗えば細部も簡単に取れるので、石膏などより便利。
Cエッチングで多少失敗しても、エポキシ側の線の太さが太くなるだけなので、削ればよい。
D気泡を埋めるときに線の高さが低い部分には肉盛りし、エポキシを削るのには硬い針とフイルム修整刀か アートナイフなどで削り、最後に水ペーパーに当木をして線の高さをそろえる(必須)
仕上げは断面が台形になるよう水ペーパーで修整する。
E万力は型の変形に注意しながら締めこむが、ゴム板(ホームセンターにて)が厚い場合、あまり締めこむと型崩れする。
F数時間圧迫したら外して自然乾燥する
G貼り付け時にあまり押さえすぎないこと

《追加テクニック》

>革の厚みが厚いほうが良いのは分かるのですがカメラに貼る事を>考えるとそう厚くもできないと思います。
私はカメラに張る際は通常0.5から0.8ミリ程度のものを使っています。あまり厚いと切断面が見えて しまってうまく行きません。どうでしょう?

厚さについておっしゃるとおりです。私は皮の業者に0.4ミリで作ってもらったのがあるのですが、 薄すぎて型押しする押し代が足りないのでうまく行きません。ゴム板は型の強さを出すためですから0.5ミリなら 大丈夫と思います。ただし、シープスキン(羊)にシボを型押ししたもののように、多少とも硬い皮が望ましいようです。

もともと型押しは牛皮など厚くて硬いものへのテクニックですから。



最終形態と作例は近日追加するが、押し型の製作はおわかりいただけたと思う。肝心のレチナは巻き上げ不調。 そのうち何とかする予定。(6/20 現在まったく触っていないのでいつ直るか不明。他の機種に気持ちが移っているので)


《コニカC35 EF  2台のコニカ》


知り合いから相次いで二台のEFをもらった。どちらも電池ボックスアウトである。一台は単に端子が腐食しただけ だったが、もう一台は電池ボックスの角から落としたらしく、フタが開かなくなったまま放り出されていた。


裏で比べると一台の変形が良くわかる。


下を外して出てきた電池はこの状態。当然内部も腐食だらけ、清掃して端子を磨いた。なんと水銀電池もそのまま放置 されていたので水銀電池ボックスは固まっていた。手では到底開かず、プライヤーの出番となった。 当然廻りも腐食していたので清掃するのに苦労した。

全体清掃。どちらもレンズやシャッター周りは正常で作動するようになった。ストロボは最初作動しなかったが 端子を再度磨くと弱く発振し始めた。最初のチャージに一分以上かかったが、以後は普通になった。電解コンデンサーは 近いうちに変える必要があるかもしれないが、ストロボ撮影はあまりしないので必要ない。



セルフタイマーの有無やロゴの違い、巻き戻しノブの形状、細かい点でいろいろ異なる。ベストセラー機なので 何度も改良されたことが良くわかる。


試写の結果




富士市の田子浦港にて。最初の3枚は堤防の周りをとったもの。ヘイズが非常に多かったがほとんど見たままの感じになった。 派手さは無いけれど、落ち着いた色調で、ピントはしっかりしている。目測なので5メートルと無限遠を使用した。
2枚目のカットは新しい堤防の竣工検査を前にして掃除しているそうだ。
あらためてこの時代のレンズはしっかり作られているのがわかる。4枚目はフェリー乗り場の前。30年前のヘドロの海は ここまで変った。(別項70年代写真参照)泳いでいるのは鴨の一団、フェリー会社の人によれば 季節によっていろいろな鳥が来る、先日までは白鷺がいたとの事。変れば変るものだ。
フジ・ネガカラー400使用



《MINOX35 EL》


不動のジャンク機としてオークションより手に入れた。



レンジファインダーのビュッカー氏の記事(リンクにあり)を参照して電池ボックスを疑った。清掃をかねて 軍艦部を外したが、特に問題はない。巻き上げ部分に少量の注油だけ実行。
巻き上げクランクはカバーと一体化している。軍艦部を取り外すときには前面に2本、ファインダーの近くに 日本のネジが黒いパテで隠されている。これを穿って取らないとネジが回せない。



オリジナルの電池は手に入りにくいので、LR44を4個直列にして代用する。(4LR44 では長すぎて入らない。)まとめてガムテープで巻こうと思ったが、 古くなるとベタベタして困るので、ボックス内部に薄いプラスチック板を筒状にして入れた。(右の写真参照)こうしないと電池のマイナス 極がすべてまわりの金属部に触れ、電圧がでたらめになり作動しない。
拡大写真では隠されていたネジがわかると思う。

この方法だと電池をコンビニで買って、その場での交換も簡単なのでお勧めだ。厚さの調節も重ねることで容易にできる。
プラスチック板は、寿司の土産用などに使われている薄くて透明なものがはさみで簡単に切れて使いやすい。弾力が 適度でボックス内に固定しなくても大丈夫、オリジナルに戻すのも簡単だ。


結果は一発完成。作動良好!


友人のGTと並べてみた。ロゴとシヤッターボタンの色以外では違いがわからない。まさに兄弟だ。







作例はネガカラーからだが、非常に良いピントで、しっかりした発色である。とてもこの小さいカメラのものとは思えない。 もちろんサービスサイズからのスキャンだから現物がずっと良いのはご了解願いたい。
重量が軽く、たたむと非常に小さいのでまさにポケットカメラ、サブ機としてどこにも持っていくようになった。
数千円でこういうジャンクは大歓迎。次に紹介するRB67同様大もうけの一台だ。



《MAMIYA RB67》



本体は古いこととモルト不良、望遠レンズはカビとシヤッター不調で同じ人が出品していた。ジャンク扱いを相場の半分 以下で手に入れた。ジャンクでもないと、とても買う気にはならない(私は貧乏です)。

写真@が送られてきた全て、このカメラバッグも付属していた。私から見ると「新品同様」どこがジャンクなのだろうか というレベルでまず感激した。



レンズ(180mm)には後群に多少のカビがあったが、外して磨くと簡単に取れた。「ミントコンディション」でないと嫌な人で なければ気づかない。


シャッター不良では無かった。本体に取り付けて作動確認したが、しっかり全速作動している。 おそらく前の持ち主は使い方が良くわからなかったのだろう。このカメラはクイックリターンミラーではなく、撮影後には チャージするまでミラーが上がったままなので、シャッターは動作確認しにくい。単体で見るといつも開いているので 動作不良と思ったのかもしれない。


というわけで、大もうけ、レストア記とはいえなくなってしまった。
重いが写りはさすがにしっかりしている。
67ともなると被写界深度が浅く、絞りのテクニック 「必要な部分以外はぼかす」が容易にできる。特に一眼レフはピントグラスで確認しやすい。これはレンジファインダーの 操作性、速写能力の対極にあるカメラだ。重さとアピール(でかい、高価そう)は一級品。体力がいることも一級品。

作例・ギャラリー Kan’s から転載









公園にて


《MAMIYA 6・合計三台からのレストア》


MAMIUYA 6 には縁がある。30年近く前に一号機を手に入れたがこのとき既にジャンク状態で、もう一台手に入れ、二個一を 行った。伝統のバックフォーカシングは共通だが、オートマット機能、二重撮影防止機能(赤べろ)6*4.5になるかどうか などいろいろバリエーションがある。私の手持ち機はオートマット、6*6専用だが中のフイルム押さえは簡易型6*4.5 兼用型で、赤窓用の穴が開いている。しかし自動巻き止めで赤窓は無いから6*6専用だ。




全体レストアしたのは知り合いのもの。こちらは6*4.5件容器だが、長い間押入れで眠っている間にひどいことになっていた。レンズだけでなく全体に カビが廻り、金属部は汚れと錆、距離計は不動、ピントリング廻らず。フイルム押さえは壊れていた。
ふたについていたはずの皮が無く、マミヤの特徴であるレンズマークが無い。「はがれたので捨てた」とのこと
それで嫌になって放り出していたらしい。軍艦部のネジが一つ無くなっていた。



それぞれの故障はたいしたことが無く、清掃、注油、調整で無事復活した。幸いジャバラのピンホールは無かったので 歯ブラシと綿棒でミンクオイルを補給、皮の部分にもミンクオイルとアーマオールで手入れしたら、見違えるようになった。


レンズのカビはかろうじて取れた。拭きキズが多少あるのは仕方ない。シヤッターはスローが多少遅いだけだったのは 幸いだった。少量の注油で回復した。絞りは異常ないのでそのままにした。
皮張りは手元のマミヤプレスの引きぶたについているタグから浮き彫りのマークを借用、何とか形になった。(写真では かすかに見えると思う)


専用フードフィルターをつけるとなかなか立派である。「使用前より少し後」ぐらいにはなった。もう一台のマミヤ6はジャバラが ついに死んだ。ジャバラを新たに製作するので完成したら経過とともに発表する。

軍艦部の扱いについて質問があったのでレスを紹介する。


ざっとカメラを見て思い出しました
。 ご相談の巻き上げノブは「左に回せば外れる」です。35ミリの巻き戻しクランクなどと同様です。
写真を添付しましたのでご参考にしてください。

なお、軍艦部のネジは前後の左右対称にある4本のみではずれます。ただし、後ろ側は3本のうち外側二本です。 右から二番目のネジは距離計調整用なので外す必要はありません。

ハーフミラーは磨かないほうが良いでしょう。万一ここのメッキが悪い場合は、私のHPのリンクにある tibikoronさんのページに修復方法が紹介されています。ご参考にしてください。その他距離計機 レストアに関しては、「Lapan Family Camera」「Range Finder」が双璧といえます。私のリンクからご覧下さい。 また、後者のBBSにはカメラの猛者が(私も一応メンバーですが)集まっています。
ご疑問はここに問い合わせれば、たいていのことにはレスがあります。


☆  作例はただ今撮影中。近日公開(するだろう?)


《CANON FTb 燃えないゴミから生還

友人の家に死蔵されていた。発見時はひどい状態だった。ケースはぼろぼろで全体にカビがトッピングされ、表面の塗装は かさぶたのようになって剥げ落ちている。変形や切れもあり、残念ながらケースは捨てた。



中身は意外にしっかりしていた。もちろん皮には全面的にカビが廻っているし、レンズもカビと汚れで見る影も無い。
レストアよりまずお掃除。非常手段で雑巾の出番となった。固く絞って全て拭く。これで少しは外観が戻ったので 気を取り直して様子を見る。シャッターなどの機能は生きている。シャッター幕にもカビがあった。幸い電池は抜いてあったので、電池ボックスに 異常はない。



モルトはお約束どおり痛んでいたがミラーはそれほど汚れていない。レンズは後群がカビていたので外して清掃した。
外装は皮にミンクオイルを与え、アーマオールで艶出ししたら見違えるほどきれいになった。各部作動異常なし。レストア というより「お掃除報告」だ。

皮の手入れはまず汚れを良く落とすのが大事だ。汚れの軽いものは皮用のクリーナーをウエスに付け、こするだけで良いが、 皮には一定の油分が必要で、これが蒸発するとパサパサになりボール紙的になって痛む。ミンクオイルなどを与えることで 復活するが、与えすぎると柔らかくなるのでジャバラなど場所によってはやり過ぎない注意が必要だ。オイルを与えたら 一週間ぐらい風を通してから磨きこむとワックス成分のおかげでぴかぴかになる。この後アーマオールなどシリコン系の 皮膜を作るとべたつかず、乾燥を防ぐので効果が長持ちする。



すぐ返したので作例はなし。きれいになったので棚に飾ったそうだ。


《MINOLTA Hi-Matic E》



これは市役所の友人から。義父の形見で押入れから出てきた。何とか使えるようにして欲しいとの依頼だ。触ってみたいカメラで 事情もわかるので、挑戦した。
状態は先のFTb同様で、「カビだらけ」雑巾他同様の処置で外観回復、非常にコンディションが良い。前玉にわずかな カビのみで、システムは正常そうだ。レンズは磨いたが、電池はもちろんアダプターをするしかない。



ビュッカーさんのご指摘で3ボルトにするため、LR44を二個重ねる。当然隙間ができる。もともとの電池より容量が少ないから 消耗が早いので、私の手元でならいつでも対応できるが、なれない人が電池交換する方法には簡単な材料が必要だ。
そこで二個を布のガムテープを裂いてぐるぐる巻きにした。これを石油ポンプのパイプで作ったケースに入れる。端子を 少し曲げればしっかり接触する。後は残った端子を手持ちのスプリングで結べは一件落着、作動正常となった。



これも完成と同時に返したので作例はない。現在所有者が撮影しているので近日報告する。


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