OLYMPUS XA

仲間のみやっちの依頼でモルト交換と清掃をした。

オリンパスXAはこの大ヒットシリーズの初代で、この小さな身体に距離計を組み込み、絞り優先のオートカメラとしてデビューした。卵形のレンズバリアーや、黒尽くめの独特のデザインは、その後のコンパクトカメラに大きな影響を与えたと思う。

今見ても、このシリーズがグッドデザインを受賞したのは当然だと感じる。小さいがずっしりした質感は安っぽくなく、本当にポケットに入れて持ち運べるコンパクトな点は、オリンパスのアイデアと技術の結晶だろう。インナーフォーカスというユニークな(当時としては)距離合わせと、それに耐えるレンズは、それまでの機種の流用でお茶を濁す姿勢とは対極にある。
好みは分かれるが、このオリンパスの生き方は、SONYのそれと似ている気がする。いずれも大ヒット製品をその独自性から生み出し、熱烈なファンがいる。と同時に、努力は認めるが、市場には受け入れられない外れもあるから、この二社が似ていると思うのだ。



いろいろ誉めたが、モルト多用はいただけない。レストアで一番嫌いなのはモルトだ。経験やスキル以前に、根気が求められるし直って当然なのでこの面倒な作業から得るものは少ない。



後の型と多少違うが、実にコンパクトだ。ただし、ピント合わせは非常にやりにくい。昼間のスナップはゾーンで十分だ。絞りを開けてボケを狙う時以外には、距離計は不要だと思う。





その他、スライドカバーの動きを改善したり、レンズ清掃(裏面)を行った。

《試写》

アクロス+ミクロファインで写してみた。



遠景のピントは今一つか。XA2の結果に似ている。



ほぼ最短距離。明るいところより暗いところの描写が良い。



こういう条件だとすっきりした絵になる。



反射の中の富士山。



絞り開放での描写。コントラストは良いが少し滲んだ感じになる。

現代の感覚で言うと、可も無く不可も無しか。ただし、カラーネガなら十分な画質だと思うので、実用的には現役と言って良い。昼間は8から11程度の絞りで被写界深度を利かしたゾーンフォーカスで、気楽なスナップに使い、暗くなったらおしゃれな専用フラッシュでも使うというところだろう。35oという画角はこの用途にちょうど良い。


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