《CANON DEMI EE17》


ジャンクで仕入れたデミEE17、キャノンデミの最高級機だ。オリンパス・ペンに対抗したもので、私が 高校時代にはやった記憶がある。基本的に汚れていただけだったが、ファインダー清掃でもモナカの皮の ような前の部分を解体しなければならない。


特に複雑ではないが、面倒なことは保証できる。


この時代のものとしては中がぎっしりだ。



問題のファインダー部。接着剤で固まっているのでレンズは慎重に少しずつ外す必要がある。 まあ見えなくても、距離計が無い構造なのでたいした問題は無い。「写したい方角」が大体見えれば いいのだから。しかし、カメラを見る人の評価はクリアーなファインダーで印象が良くなるので しっかり磨いた。

【試写】

全体は外観の直しと、ハーフ製作中なので、先に試写してみた。ここで大きな誤算を発見。 「前球が傷だらけ」である。コーティングのはがれが多い。逆光には弱いと覚悟を決めて 一通り写してみた。(高崎さんのおかげで、後日前球は良いものになった。感謝!!!)



非常にうす暗い割にはしっかり撮れている。



二枚とも車の中からのショット、条件最悪だが何とかなっている。この辺から デミの評価が上がった。



以前レチナで写して以来の定点観測用のゴミ置き場。発色・ピント安定している。



働くお兄さん。作業場の暗いところを外から写したが、なかなか良い。



室内・照明なしでもちろんストロボも使っていない。約1メートだから、文句なし。



港入り口の灯台の裏。なぜか掃除道具がある。



ちょうど一匹釣りあがった(魚の種類不明・釣りはしません)1.5メートルでぴったり。



恒例の炎。プラスチック系の黒い炎だが、描写はなかなか。


デミシリーズのできの良さは、最近のフイルムの性能アップで証明されたと思う。今回の私のデミは 前球に傷があるので、原画で明るいところでは多少フレアーっぽいところがあった。高崎さんからいただいた前球に交換し、 再び試写して追加報告する予定だ。しかし、このままでも十分使えそうな気がする。少なくとも 光が少ない状況ではレンズが明るい分、先輩のペンEEDより使いやすい。



《KODAK SIGNET40》

アメリカコダックの製品。レンズは46mmF3.5 のエクタナーがついている。距離計が駄目と言うジャンクだ。

外観は良いのだが、確かに距離計はでたらめ、参考にもならないレベルなので軍艦部で調整しようと試みた。 なんと巻き戻しノブが外れない。理由はわからないが、まったく廻らないので、ついには皮を巻いて プライヤーでまわそうとしたが、限界なので、やむなく引き上げたノブの下にあるネジを斜め上から まわして外した。特殊工具・斜め45度先端のドライバーを作り、慎重に作業して、ようやく外れ、 写真のような姿になった。



後は調整だけだ。左右は巻き上げレバーの脇からドライバーを入れればまわせると判明したが、 上下はリンクの途中のネジで、軍艦部の蓋を外さねばできない。苦労してあけてよかったというところか。



ヘリコイドが極端に重かったが、裏球のところからスーパーCRC5-56を少し注して、しばらく動かすと 楽に動くようになった。各部が異常に硬く締まっているので止むを得ずこの方法をとったが、外して グリス交換するほうがはるかにましな作業なのは言うまでも無い。あふれたオイルは何度も拭いておいた。

【試写】

レストアした勢いで試写に向かった。場所は運動公園である。



露出計はついていないので、全てカンで写したから少しオーバー気味だが、そこそこ写っている。
私の体内露出計はASA100固定なので、400のネガカラーへの換算がずれていたようだが、完全逆光でも フレアーやゴーストは無く、不細工な形なのに基本性能はしっかり押さえてあると感じた。
レンズの発色は渋めの暖色系で、なんとなく懐かしさを感じさせる。比較的軽く(本体はベークライト製) 操作しやすいので、お散歩カメラには向いているのだろう。ドイツコダックのカチッとした描写とは 明らかに違うが、これはこれでよいレンズだと思う。



《OLYMPUS TRIP35》

オリンパスペンのフルサイズバージョン・トリップ35ははるか昔使った記憶がある。なんとなく可愛い。 「出でよジャンカー・・・」というHIROさんの誘いに乗って落札した。
いわゆる「赤ベロ=低輝度時の警告マーク」がでないと言う不具合だった。



シャッターをレリーズした時、リンクの動きが悪い。少しノコギリカム(露出決定用のカム)と触っている ここを少し曲げ、各部に注油した。



絞りを開くリンクが押しすぎで、絞りが開きすぎるのを調整した他は特に問題なし。



低輝度でシャッターを押すと赤ベロが出るようになった。これにてレストア終了。

【作例】

12枚撮りで簡単に近所で撮影してみた。



「もも」家の猫。日差しが強いところを避けて行動している。



我が家の花壇の角トラの尾。近距離でもしっかりした描写だ。



回れ右するとこんな景色。正面には富士山(が見えるはずだが曇りなので・・)



完全逆光でもボケない。オリンパス全般に逆光に強いのかも。



もとアリナミンの陳列ケース。ジャンク展示場になる予定。



隣の庭。ハーフと違って完全なパンフォーカスにならないのが良い。

急遽10分で実行した試写なので、完全な判断は避けるが、個人的には合格点の描写だ。 今後色々撮って最終判断したい。



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