《PETRI 7S》


ペトリのカメラは初めてだ。緑の採光窓がこの時代のペトリの距離計機共通だそうで、なかなかかっこよい。

問題はいろいろある。まず距離計がとんでもない。どこを向いているのかまったくわからないので 軍艦部を開けてみた。



この距離計は光路の中間に凹レンズを入れ、それを動かして合わせるのだがとんでもないほうを向いていた。
いろいろ調整しても直らない。距離計自体を外して点検したが、正規の位置でもまったくおかしい。
あきらめて目測機にしようと思ってふと見ると、ハーフミラーが緩んでいる。もしやと思い、外してみると なんと裏表が逆になっていた。これではミラーの厚みの分だけずれて、合うはずがない。前の持ち主がいろいろ いじりまくったのだろう。あちこち緩んでいた。ともあれこれで左右は大体合った。上下は反射鏡で調整するが 時間がかかりそうなので、半分目測で試写ということにした。



《試写》

フジカラー業務用100で港のまわりを撮った。あいにく曇りで余り良い結果は期待できない。













色は全体に渋めだが、曇り空の下で描写はしっかりしている。ペトリに良いイメージを持てなかったのだが、 見直した。落ち着いた出来の良いカメラだと言えるだろう。


YASHICA Partner YASHICA PARTNER

ヤシカ・パートナー JFC横浜オフ会のときにHIROA会長が「カメラのキムラ・ジャンク市」でなんと 100円で入手、そのまま私に廻ってきた。いわく「これでレストアの勉強をしなさい」と。

点検するまでも無くあちこち壊れている。外観悪く、シャッター時々動くが開きっぱなしになったり、音だけで 動かなかったりする。電池を入れてもストロボまったく発信せず。巻き上げは軽くからからどこまでも廻るので、 一体どこがまき止めかもわからない。



シャッターを見ようと各部のネジを外し始めたが、二本がまったく駄目だ。ドライバー溝自体が錆びてなくなっている。 プラスネジで、巻き上げスプロールの下だからドリルで頭を削る荒業もできない。
仕方なく底板を外して思わず笑った。「なんじゃこりゃーーー」。

シャッターは二枚の羽根を固定ピンで止め、共通の穴に簡単なリンクを連結し、これが上下に動くとシャッター開閉 である。そのリンクを巻き上げレバーに連動した板が、シャッターリリースで動いて叩き(と言うより引っかき) それでシャッターが125分の1秒(公称)で開く訳だ。はるか昔のバリオのエバレディータイプをもっと 簡略にしたもので、シャッターはふらふら自由に開閉する。



巻き上げ不良の原因はここだった。ラチェットのストッパーが完全に固着していた。CRCをつけて軸を少し づつ動かしていたら何とか動くようになった。組みなおすとシャッターと巻き上げは正常になった。

ストロボは電源部の錆とスイッチ不良だったがばらせないのでCRCを注してガチャガチャ動かしていたら 突然導通してチャージするようになった。これで機能は回復したので各部清掃してレストア終了。直ちに 試写してみた。



《試写》



















最後のカットは”もも”フラッシュのテストを兼ねてデイライトシンクロしてみた。

試写にはASA100のフジの業務用ネガカラーを使った。雨がぱらつく本曇りで、絞り値は推定でf5.6 程度が適正だ。固定焦点カメラのテスト条件としては最悪だ。本来は400のフイルムを使うべきだろう。
しかし、工夫すれば使える楽しいカメラだ。決してその実力は低くない。”写るんです”とは違い、一味上 である。モノクロ400を使ってみるのも面白いだろうと思った。


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