ペトリのカメラは初めてだ。緑の採光窓がこの時代のペトリの距離計機共通だそうで、なかなかかっこよい。
問題はいろいろある。まず距離計がとんでもない。どこを向いているのかまったくわからないので
軍艦部を開けてみた。
この距離計は光路の中間に凹レンズを入れ、それを動かして合わせるのだがとんでもないほうを向いていた。
いろいろ調整しても直らない。距離計自体を外して点検したが、正規の位置でもまったくおかしい。
あきらめて目測機にしようと思ってふと見ると、ハーフミラーが緩んでいる。もしやと思い、外してみると
なんと裏表が逆になっていた。これではミラーの厚みの分だけずれて、合うはずがない。前の持ち主がいろいろ
いじりまくったのだろう。あちこち緩んでいた。ともあれこれで左右は大体合った。上下は反射鏡で調整するが
時間がかかりそうなので、半分目測で試写ということにした。
《試写》
フジカラー業務用100で港のまわりを撮った。あいにく曇りで余り良い結果は期待できない。
色は全体に渋めだが、曇り空の下で描写はしっかりしている。ペトリに良いイメージを持てなかったのだが、
見直した。落ち着いた出来の良いカメラだと言えるだろう。
YASHICA Partner
YASHICA PARTNER
ヤシカ・パートナー JFC横浜オフ会のときにHIROA会長が「カメラのキムラ・ジャンク市」でなんと
100円で入手、そのまま私に廻ってきた。いわく「これでレストアの勉強をしなさい」と。
点検するまでも無くあちこち壊れている。外観悪く、シャッター時々動くが開きっぱなしになったり、音だけで
動かなかったりする。電池を入れてもストロボまったく発信せず。巻き上げは軽くからからどこまでも廻るので、
一体どこがまき止めかもわからない。
シャッターを見ようと各部のネジを外し始めたが、二本がまったく駄目だ。ドライバー溝自体が錆びてなくなっている。
プラスネジで、巻き上げスプロールの下だからドリルで頭を削る荒業もできない。
仕方なく底板を外して思わず笑った。「なんじゃこりゃーーー」。
シャッターは二枚の羽根を固定ピンで止め、共通の穴に簡単なリンクを連結し、これが上下に動くとシャッター開閉
である。そのリンクを巻き上げレバーに連動した板が、シャッターリリースで動いて叩き(と言うより引っかき)
それでシャッターが125分の1秒(公称)で開く訳だ。はるか昔のバリオのエバレディータイプをもっと
簡略にしたもので、シャッターはふらふら自由に開閉する。
巻き上げ不良の原因はここだった。ラチェットのストッパーが完全に固着していた。CRCをつけて軸を少し
づつ動かしていたら何とか動くようになった。組みなおすとシャッターと巻き上げは正常になった。
ストロボは電源部の錆とスイッチ不良だったがばらせないのでCRCを注してガチャガチャ動かしていたら
突然導通してチャージするようになった。これで機能は回復したので各部清掃してレストア終了。直ちに
試写してみた。
《試写》
最後のカットは”もも”フラッシュのテストを兼ねてデイライトシンクロしてみた。
試写にはASA100のフジの業務用ネガカラーを使った。雨がぱらつく本曇りで、絞り値は推定でf5.6
程度が適正だ。固定焦点カメラのテスト条件としては最悪だ。本来は400のフイルムを使うべきだろう。
しかし、工夫すれば使える楽しいカメラだ。決してその実力は低くない。”写るんです”とは違い、一味上
である。モノクロ400を使ってみるのも面白いだろうと思った。