カメラレストアのページ 3

《オリンパスオートアイ》

35ミリ、セレン受光体によるEEカメラ

陶芸の仲間であり、人生の先輩T氏の遺品。「使ってみないかい、結構良く写るよ」といただいた。大事にしてはいたが まだ写したことが無かった。一周忌から半年が過ぎ、思い出とともに使ってみた。




この機体は非常に程度が良い。さすが、几帳面で物を大切にする人のカメラだ。どこにもキズや欠けたところが無い。 レストアどころか軍艦部を外してファインダーを掃除する必要さえない。一応各部確認し、私のところへ来てからの 汚れを掃除した。師匠HIROAさんはこのカメラのEE露出計のメーター部は弱く、壊れたものが多いと評価されているが まったく正常、くるっと廻って露出を決める機構は完全だ。ファインダーで見えるので、意外なほど便利だ。



皮のケースはさすがに時代を伝える痛み方だが、使っていてこの状態なのだからしっかりしたものだ。ただ、材質は ペラペラの皮で、中身の感じを損なった品質だ。

作例




これが40年近いファミリーカメラのものとは驚きだ。逆光で多少のフレアーがあるが、描写はすばらしい。
波の写真と4枚目の写真は完全逆光だが、しっかり写っている。パンフォーカスで写したものは近景も遠景も ポジではしっかりピントが来ている。富士山の写真は現実がうっすらぼんやり見えている状態だったので、 写真はむしろコントラストが上がったように感じる。オリンパス・ズイコーレンズ恐るべし。

あらためて「結構良く写るよ」という意味を承知した。


《BEAUTYFLEX 30年ぶりに復活》

昭和30年代にAからZまで(実は2文字分無いそうだが)作られた典型的な二眼レフ。我が家には30年程前に 来たと思う。父の店のお客さんからもらったのだが、一度も使ったことが無い。理由はいろいろ欠品だからだ。



欠品はフイルム押さえ板とアクセサリーシュー、特にフイルム押さえが無くてはカメラにならない。欠品にした犯人は 記憶が不確かだが、自分自身だろう。おそらくいろいろなものに部品を供給してしまったからだと思う。

フイルム押さえは作るしかない。最初透明アクリル板で作った。きれいにできたが厚すぎた。入らないことは無いが 圧力がかかりすぎてフイルムがちぎれる。そこでカーラジオのシャーシから切り出した鉄板に代えた。



左が試作したアクリル板、右が採用した鉄板。模様のように見えるのは鉄板の加工後の歪みを取るために 砥石で研いだからだ。これで圧力がほぼ予定通りになった。フイルム巻上げはスムーズになったので レンズを清掃、各部を磨き適当なアクセサリシューをつけてレストア完了となった。

作例は次のエルモフレックスといっしょに撮影して、比較しながら発表する。

《ELMOFLEX おまけ復活、シャッターが直らない》

8ミリカメラやプロジェクターで活躍したエルモは二眼レフも作っていた。このカメラはイコンタ35(現在レストア中) をオークションで落札したらおまけでついてきた。来たときはまさにボロボロ、アルミ腐食で粉を吹き、ひどいありさまだったが たいした精密機械ではない時代のものなので、掃除するとつかえそうな感じになってきた、





一応清掃と整備が完了したが、チェックしてみるとスローシャッターが不正確、50分の1以下は単速になって バルブも効かない。
シャッター周りは普通前から分解するのだが、どうにも外れないので最もやりたくない方法だが、後から分解する。
この方法だとシャッター羽根や絞り羽がばらばらになり、組み立てが非常に大変だが仕方ない。



ばらしたが、スロー調整はやはり後からはできない。やむなくジッポーオイルでシャッターブロックを洗い、 オイルを少し補給した。低速は撮影に必須ではないとして今回はここまでとした。高速側はしっかり使える。 別項の古いレンズなど、T.B.25.50.100 しかなくてもしっかり写るのだから何とかなるだろう。


一応完成、試写は二眼レフ二台まとめて同じカットで比較してみようと思っている。


《ASAHIPENTAX Sp かつての名機》
日本の35mm一眼レフはぺンタックスから始まった。これは間違いないところだろう。
ペンタックスの中で、一番有名なのはなんといってもSp。この機体は陶芸の友人のものだが(正確にはその方の ご主人の持ち物)すばらしい保存状態だ。高価なものを大事に使っていたことが良くわかる。



大きな損傷や不具合はまったく無い。経年変化によるミラー部のモルト不良と、レンズ後群のわずかなカビだけだ。

モルトは嫌なものだ。できれば使って欲しくない。安いカメラほど安易に使っている。これほど簡単に経年変化 するものは無いのだが、日本のカメラのほとんどは遮光をこれに頼っている。もっと良い素材は無いものなのだろうか。



清掃は完了した。非常に良いシヤッター音になった。作例の試写は近日実行する。



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