Suzuki Camera Works PressVan
義父は新聞の支局員だった。取材から写真まで一手にこなしていたようで、遺品のカメラは私が管理している。
鈴木カメラワークスのプレスバンは報道用途に対処すべく、いろいろ工夫されている。戦後の物資不足のためか
ブローニーと35oの両用だ。したがってフイルムカウンターなどは二重になっている。
残念ながら35oアタッチメントは無いので6×6として使うことになる。
フイルムカウンターが不調なので軍艦をばらした。特に変わったところは無い。巻き上げ部に二枚の歯車があり、
これの切り替えで両用している。バネが一部はずれていたのを直し、注油した。
シャッターも多少ばらつくので清掃して注油した。
特徴である蛇腹部。左が格納状態、右が使用状態で、たすきのところにもう一つあるのがシャッターを
押すレバーだ。ピント調節はこのX型のたすきが動いてレンズボードを前後に動かす。
低部には巻き戻しレバーがある。焦点合わせとファインダーは別になっている。
《試写》
このカメラの元々を考え、モノクロで試写した。巻上げ不調で一部二重撮りになったので、やむなくトリミング
している。
雨の日の試写。思いっきり二重撮りだ。トライXでもとても無理なほどの暗い日だった。
定番の田子浦港。晴れていたからこちらはしっかりだ。Y2を使用したのにまだ軟調だった。T-Max100使用
時代を感じさせる軟調な描写だ。しかし、細部までしっかり撮れるのはさすがだ。あらためてこの時代のカメラの
実力を感じる。
ROSS ENSIGN FUL-VUE Super
エンサイン、オートレンジなどで有名なイギリスの高級機メーカーだが、そんな高価なものには縁がない。
御紹介するのは変わった形で評判の「フルヴュー Super」である。620フイルムの家庭用カメラ。家族の肖像を
撮ってきたものなのだろう。
分解はたった3本のネジですべてバラける。この時のパーツは全部で20に満たない。簡単至極だ。
これがシャッターユニット。二枚の板でシャッターになっているのは一般的手法だ。レリーズをつける穴と、
シンクロ接点とバルブの機能がついている。これがSuperの意味なのだろうか。
とにかく簡単なので、分解・組み立てはプラモデルよりやさしい。
ファインダーは無焦点系のいわゆる「ブリリアントファインダー」、暗いところでは良いが明るいところでは良く見えない。
《試写》
簡単な構造から大きい期待はしなかったが、何とかよく写したいので、先に遮光紙を張った。
フイルムは手持ちのトライXを巻き直し、コントラスト調整とND代わりにY2フィルターを両面テープで
貼り付けた。撮影は私が生まれた家から半径200メートル以内の元思い出の場所だ。
なかなかの描写だが反省あり。遮光紙が干渉して一部切れた。軟調ながら使える描写だと思う。
次はカラーを入れてみようかとちょっと考えている。