Yashicaflex
MODEL C とあるので、昭和30年に新発売されたようだ。Japan Family Camera によれば、それまでの普及機を蹴散らし、市場を独占して言ったということだ。確かにセミオートマット・前板繰り出し・独立したシャッターボタンなどローライコードと同格のシステムで、高級感がある。ダイキャストフレームの仕上げも良く、リコーフレックスなどと比べると格が違う。
ただし、レンズの評価は別のものだ。これは形式や価格とは相関関係が無いといって良いだろう。高級仕様はオートマット・レバー巻上げ・明るいレンズなどだが、ローライでも言われているように、明るいレンズの描写が上とは言えない。
手に入れた個体はシャッター・セルフタイマー・絞り不調というものだったが、単なる「油切れ・調整不良」というレベルで、清掃と注油で完全になった。操作性が良く使いやすいと思う。
《試写》
私が二眼レフに求めるものは二つある。「正確で諧調豊かな描写」はミノルタオートコードやフレクサレットに代表される特徴だ。もう一つは「ノスタルジックな描写」でいわゆる四畳半カメラの多くがそうである。
この観点で見ると、ヤシカフレックスはほぼ中間だと思う。取り立てて言うほどの精密さはないが、ブローニーの強みでピントがよく、周辺落ちも少ない。しかし逆光のハレーションやコントラストの低さなどは四畳半的だ。
次はカラーを試してみたくなった。使いやすいので気楽に持ち歩く二眼レフと言えよう。
思ったよりずっとしっかりした描写だと思う。撮影条件が曇り空と春霞なので、コントラストの低さは問題ではないと感じた。逆光対策は必要なので処理してみる。
以前に見たヤシカマット124の描写が今ひとつと感じていたのだが、この描写は良い。逆光や低コントラストにも十分耐えるとわかった。また目からうろこである。(ほとんどはTS君と富士五胡に出かけた時に撮影)
BOX-TENGOR
ZEISS IKONの典型的なボックスカメラ、ボックステンゴール。JFC会員の峠月さんの愛器だった。不思議な縁で私のところに回ってきた。なかなか軽くてかわいい形だ。
見慣れない形で面白い。
絞りは丸い穴の開いた板が順に出てくる。距離は薄いレンズが入れ替わるゾーンフォーカス。
レンズは貼り合わせの一枚で、写真レンズとしては原始的な構造のゲルツ・フロンターアクロマットのF9だ。
まったく簡単明瞭なシステムで、驚くほどきれいだった。
正面に少し凹みがあり、軽く板金しただけで非常にきれいな個体だ。50年以上経つとは到底思えない。材質も廉価カメラのものとは思えないほど良い。フイルムはブローニー69で本来密着焼付けで判断すべきカメラだろう。
《試写》
見れば一枚レンズの威力がわかるだろう。
驚くほどの描写だった。このレンズでここまで写ると8枚玉など何のためかとも思う。もちろん周辺は流れているが、中央部のピントと質感は素晴らしい。カラーも楽しみだ。フイルムはトライXでNDフィルターで露光調節した。