カメラレストアのページ 7

《RICOH AUTO SHOT》


オークション9台1250円の一台



リコーオートハーフの兄弟。スプリングモーター巻上げの35mmEEカメラ。ずいぶん変った形をしている。どちらが上か 非常に間違いやすい。なんとも昔の形で、それが良い。
壊れた部分は無く、モルト交換だけしたが、このカメラのモルトはひどい。遮光はすべてモルト頼み、裏ブタ前面に べったり張りまわされている。はがすのに一苦労だった。



すべて交換したが、これほどたくさんのモルトを一度に張ったことは無いので疲れた。



以下が作例だがこの結果は大いに不満だ。露出は結構正確だが、ピントがどうにもおかしい。距離目盛が非常に ラフで、使えたものではない。その他は使いやすいので残念だが、このカメラは私の通常使用には無理と判断、 保存箱行きが決定。でもその前にピントを確かめたいが、仮ピントグラスで・・・とても面倒だ。
まあこんなカメラもある、ということで打ち止めとしたい。



なんとこの二枚ともう一枚以外ピントの合ったカットが無い。よく見ると極端に前ピンだ。おまけにゴーストありで やる気を失った。何よりたとえピントが直っても使いにくいので使う気にならない。私的にはこのカメラは失敗作だと思う。 固定焦点のハーフ版の方がはるかに使いよい。


KODAC RETINA VC

35oフォールディングカメラの代表格はドイツコダックのレチナだろう。戦前から戦後60年代まで作られ、 多くの種類がある。大きい分類としては同じだが、距離計連動か、目測か、露出計の有無、レンズ交換可か否か等で T、U、V型があり、それぞれaが付くと距離計連動、C付ではレンズ交換可となる。ただし、無印U型は距離計連動で aとの違いは巻上げが前者はノブ、後者はトップレバーということだ。ご紹介するのはオークションで出たVC

☆このレチナの解説はいいかげんだとIdaさんから訂正がありました。当然こちらの方が正しいので お詫びして訂正します。

Tは目測、IIはI+連動距離計、IIIはII+露出計つきを示す。
 それぞれマイナー進化を表すa,b,cは、aは従来のナゲールボディにレバー巻上げ・セルフコッキング、 bは下巻き上げレバーの新型ボディに進化、cはb+レンズ交換対応である。

いいかげんな記述をしないこと! <失礼しました。kan

無印はバリエーションが多すぎるので省略・・・。

Written by Mr. Ida




きれいな個体で、ファインダーの枠以外は外観正常。ただし、シヤッターは粘り、その他の問題もあるので レストア対象になった。



交換レンズは前球のみである。昔の本には「前球交換式は旧式で、欠点だらけ」と書かれている。どの程度の 力があるか早く知りたくて、レストアを急いだ。



下側のレバー巻き上げは特に使いにくくは無い。キャノネットと向きは違うが感触が似ている。

問題はシヤッターと絞りである。粘りはジッポーオイルで清掃し、軽く動作するようになった。前球はバヨネットで 後玉も楽に取れ、ここの手入れは簡単にできる。

しかし、絞りがおかしい。F2.8で変形し始め、開放では変な形になってしまう。



一度開放にすると、羽根が一部おかしな動きをする。F16で、中心のほかに向かって右下にピンホールができる。

このカメラの先輩、たかさきさんに相談し、いろいろ対策したが直らない。これは完全にばらして羽根の変形や ピンの状況を見るしかないかと思ったが、シヤッターを外すのはどうも億劫だ。この美しい機体が二度と動かな いのでは本末転倒。たかさきさんの「写せれば勝ち」のご意見に従い、レストアはここまでとして試写に入ること にした。開放F4のレンズと思えばたいした問題はない(東西線さんには開放が使えないのは問題だとしかられそうだ) このくらいの明るさのレンズは普通だし、高感度フイルムを使えばよいと割り切ることにした。

試写は以下のとおり。前半は50o、後半は35oで撮影した。重いのでご承知願いたい。



2枚目と4枚目はほぼ同じ位置から写した。画角の違いがわかる。4枚目は二絞り間違えてオーバーだ。色の違いは そこからだと思う。一切レタッチはしていない。現物はもちろんずっとシャープだ。

「感想」予想以上に深い。レンズを云々するのは得意ではないが、DP店でも引き伸ばしのベテランが 「なにか普通の写真とは違いますすごく雰囲気が良いですね。私も古いカメラで撮って見たくなりました。」 と評価していた。
本体距離計で測距し、それを専用目盛りにあわせる(連動していない)広角レンズは意外にも使いにくくなかった。 35oの特性で、目測であわすほうがずっと素早く、それでしっかり写っている。

【このカメラは使える・35o広角レンズはなかなか良い】という感想である。詳しい方なら「80o望遠はどうした」 とおっしゃるだろう。
しかし私は「望遠は嫌い、スナップカメラにはいらない」で、もともと買っていない。だいたい距離を合わすのに いちいち目盛りを読んで設定していたら速写性など無いに等しい。望遠は一眼レフに任せよだ。
使う予定の無いものをコレクションする気は無い。カメラは写す道具だから。


-------------- ☆ニュース! ---------------

絞りの故障をどうしようかと考えていたが、レストアの先輩にシヤッターまわりに詳しい方がいるのを知った。 JFC会の「Ida さん」だ。ひょんな事からレチナUを使ってもらうようになり、その縁で絞り修理を お願いするようになった。

さすがは大判カメラに精通し、「Fantastic Camera」にも 作品を掲載する方だ。(現在日曜日の写真を担当されている)あっさり修理してくれた。
絞りは最初からバリがあり、引っかかりやすく、ガイドの曲がりがF4.0で急なことが原因だと指摘してくれた。 ついでにシヤッターまでメンテナンスしていただいた。**カメラなんかよりずっと確かな腕だ。 Idaさんはオールドカメラのメンテナンスでもご商売になるほどの方だとHIROAさんが話していたが、 まさにお墨付きのどおりの技術に感激してしまった。

テストで撮影してくれたモノクロをご紹介する。しっかりした写りだとわかる。特に一枚目の車のボディー への周囲の写りこみは、Idaさんに「肉眼より情報量が多い」とお褒めいただいた。







☆ところで、ハードケースが付属していたが、ストラップが片方切れている。本体に幅広のストラップ掛けがあるので もう一方も切り落とした。ついでに上側のカバー部は撮影中は外して置けるように、取り外し可能のホックにした。



用具は皮ポンチとセッター、リベット受けだけで、簡単に改装できる。ハンズなど皮細工用品のある店なら簡単に 手に入る。使ってみるとこれは便利。アンダーカバーしたまま撮影できるし、下に蓋の部分がぶら下がってみっとも なくならない。
オリジナルのホックと似たデザインのものを選べはまったく違和感は無い。
(昔のお父さんはケースの蓋をぶら下げて撮影したものだが、これはかっこ悪いと思う)


戻る TOP