My Knives

ナイフを「アート」と呼ぶのはいささかためらいがある。しかし、ナイフとは手で扱う刃物全体の総称で、武器ではなく 道具の原点だ。これを危険なだけの凶器と見るのは偏見でしかない。料理などナイフなしでは成立しないのだから。 また、近年発達したラブレス氏を頂点とする「カスタムナイフ」は、美的価値からも高く評価されている。凶器として ではない。

私は「実用」としてナイフを見ている。使って何ぼ、飾るのは趣味じゃない。
もちろん、美しいに越したことはないが、いかに使いやすい道具であるかが、 人類最初のツール「刃物」だと思う。

この点で私にとっての理想は「鉈の強さと剃刀の切れ味」だ。
以下の作品群はこの考え方を具現化しようとしたつもりだが、いかがだろうか。


ただし、「刃物は人を傷つけるための武器ではない。生活のための道具である」という考え方に共感しない方には 見ていただく必要はない。


《No.21》は大型ナイフだ。カウリYという非常に硬く美しい光沢の素材で作った。
ハンドルはブラックウッド、シースももちろん自作だ。全体の長さは25cm、 刃長は135mmで、ヒルトはニッケルシルバーを使った。




《No.28》はぺティナイフ。我が家のテーブルにいつも置いてある。リンゴの皮むき、 硬い肉のカット、パンのスライス何でもできる。材質はATS34、カスタムナイフ 専用の素材だから超高級果物ナイフといったところか。


No.28



《No.17》いわゆる多得ナイフである。本刃の背にあるのはロープカッター、 開きかけているのは錐・栓抜き兼用のツールで、もちろんたためる。
刃は60mmに達しないがこれで十分使える。キャンプなどに便利でいつもは パソコン台の横に下がっている。材質はATS34。


No.17


《No.16》全長32cmの大型包丁だ。厚さは1.5mmと一般の包丁と同等だが、刃のつけ方を 工夫した。これも材質はATS34で、贅沢な包丁だ。
普通こういう形は両刃(両側から刃に角度をつける)だが、これは片刃である。 ただし緩く丸刃に研いでいわゆる「ハマグリ刃」にしている。こうすると 切れ味と刃持ちが良い。研ぐのは難しいが。肉、魚から野菜の千切りまで 万能に働いてくれる。
ハンドルは水に強い合成樹脂の「マイカルタ」で、非常に丈夫だ。

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《No.k》全長14.5cmのユーティリティ。厚さは1.5mmのATS34で作ったポケットタイプ。
装飾なしで、ハンドルに巻いた皮はグリップ用だが、外して紐としても使える。普通と逆サイドに 刃をつけたので、なれないと使いにくい。




《No.なし》全長14.5cm、刃長5.8pのユーティリティ。厚さは2.5mmのカウリX、ポケットタイプ。
コンシールドタングでヒルトなし。抜群の切れ味で、5ミリの牛皮でもすっきり切れる。シース作り からキャンプで魚をおろすまで万能。我が家のキャンプで人気ナンバーワンだ。




《No.19》全長22.5cm、刃長11.2pのドロップポイント。厚さは2.0mmのATS34
刃の薄さを利して包丁代わり。ハンドルは鹿の角。さすがに薄いので、テーパードタングではない。




《No.21》全長24.7cm、刃長13.5pのドロップポイント。厚さは4.0mmのカウリY
カウリYの美しさから唯一ミラーにした。ハンドルはブラックウッド。当然テーパードタング




《No.9503》全長36.5cm、刃長21.8pの超重量級の剣鉈モデル。6ミリの440Cから数ヶ月かかって 削りだした。鉈の強さを求め、折れにくく研ぎなおしやすいので440を選んだ。黒皮を鍛造鉈の 肌に見立てた。
小さいほうは全長17.5cm 刃長7.2cmの小刀。刀子の形でATSの1.5mm圧を使っている。魚をさばくなど 細かい作業はこれでする。タッチアッパーをつけて総重量700グラムを超える。ランボーナイフ なんて目じゃない、重さで勝てる。





《No.Z30》全長31.5cm、刃長18.8pの剣鉈モデル。4ミリのZDPをテーパードタングでナイフ式 グリップにしてある。
当分ナイフを造る予定は無いので、これが私のマスターピースだ。
切れ味と使いやすさはすばらしい。鉈として枝払いした後で、包丁代わりに使える。「ヒゲも剃れそうな・・」 という形容にふさわしい。シースもがっちりきれいにできたので、これで当分打ち止めとした。
使わないで飾るものではないので、当分(おそらく一生)これだけあれば足りるだろう。





ナイフのページはここまでです。この記事の後左手が腱鞘炎になり、陶芸もナイフ作りもストップさせたままです。 いつの日か再開するかもしれませんが、使う道具が一通り出来たからもういいかなとも思います。


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