つれづれ写真帖 P27 土器作り


昨年まで20年近く陶芸をしてきた。どうにも我慢なら無いことがあって、その会はやめたが別に陶芸に興味がなくなったわけではない。
6年の生徒たちの社会科にかけて、インチキ土器作りを行った。インチキとは粘土は信楽だし、作り方も自由と言う事が理由なり。おまけに野焼きではなく、臨時に組み立てた大型火鉢みたいなもので木炭とヘアドライヤーを使う簡便な方法だ。
でも何であれ焼ければ勝ちだ。楽しいことが一番だよね。

というわけで、難しい話は無し。普通に市販されている粘土なら何でも良い。赤土ならよりそれらしいというだけのことだ。作り方も空気を入れないことと、しっかり自然乾燥させることさえ守れば特にコツはない。いつでも簡単にできるのでこれこそまさに「誰でもできる陶芸」である。

作る過程は省略した。紐で作ろうがタタラで作ろうが、ロクロを廻そうが好きにすれば良い。


全員集合。足元にある物体が本日の窯。



作品なり。手びねりで作ったものや、適当にロクロで作ったものなどいろいろ入っている。ごく小さいのは勾玉の石にする予定のもの。



窯。炭を入れて準備したところ。これは本物のガス窯の棚板とツク(支柱)を適当に組み合わせ、周りを針金で縛っただけ。大量でなければ普通の七輪で良い。小さい物は空き缶でも大丈夫。唯一のコツは下からドライヤーで風が送れるように隙間か穴を開けておくくらいだ。



最初は少しの炭で上にバーベキュー用の網を載せてその上に作品を並べ、遠火で乾燥している。
この状態で少なくとも30分は加熱する。どんなに乾燥していても、真の水は飛んでいないので、このアブリ作業は必須だ。この時に風を送ったりしないこと。急激に温度が上がると水蒸気爆発で粉々になる。(今回は2個ほど破裂させてしまった。男子が面白がって団扇で煽ったからだ)



満遍なく乾燥するように工夫して積み上げる。コツというほどのことではないが、乱暴に扱わないこと。



乾燥が済んだ頃に炭の中に全て乗せる。その上から器物がほとんど見えなくなるまで炭を追加するが、すぐに煽ってはいけない。静かに30−40分ほど火が自然に上がるのを待つ。



中から赤くなりだしたが風を送るのはまだ早い。



送風テスト。ここから20−30分は攻め焚きになる。風を送って強制的に高温にする。この火の様子はまだ少し早い。あくまで写真用の形のみだ。



攻め焚き開始。激しく火の粉や炎が上がる。送風する人はやけどに注意が必要。器物が真っ赤になり、黄色っぽくなるまでがんばって風を送り続ける。



攻め焚きが終わったら、炭が燃え尽きるのを待てば良いが、そんなに待て無ければ、どんどん火箸で取り出しても良い。この時に、小麦粉やフスマ、米ぬかなどを熱い作品にかけると真っ黒に焦げて野焼きの雰囲気を演出できる。好みでやって見ると良い。



ということで、楽しい3時間が終了した。それぞれ自分の作品を持って帰って行った。



勾玉ができていたのでつないで見た。ペンダントトップなどにおしゃれだ。これは誰でも簡単にできるので、お勧めアイテム。

《その他》

段ボール1箱分で木炭を6キロほど使ったが、ちょっと多すぎた。七輪なら2−3kで十分だろう。空き缶を使うのならほんの少しで足りる。窯が小さい場合は炭を小さめにする焼きやすいが、適当な空間が必要なので細かくしすぎないこと。

失敗はほとんどが乾燥不十分で起こる。生の粘土から製作後、最低2週間は乾燥させる。できれば最後に天日乾燥させると良いだろう。焼く火が晴天なら窯の準備の間に陽に当てるのも良い。

平らな板を切り出してネームプレートを作ったり、楽焼用の釉薬をつけて実用にしたりすることができるので、いろいろ工夫すると良いだろう。(粘土や用品などはネット通販で簡単に手に入る。)

釉薬をつける場合は、作品が一応乾燥した時点で霧吹きで吹きかける。あまり一度に吹くと水分を吸って割れてしまうので、日を置いて2度くらいに分けると良い。又は一度素焼きして、その後に釉薬をつけて再度焼けば、安全だ。
釉薬をつけたものを焼くときには、窯の中での置き方を工夫し、他の器物に触れにくいようにする。木炭が当るのはかまわないが、釉薬の付いた表面をかじらない様に注意が必要だ。この方法で七輪で抹茶茶碗も作ることができる。


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