SAMOKA LEU>


数多の国産機の中で、異色で薄幸のカメラ、サモカ。
多くの独創的な構造で知られ、創業者の死と共に消えていったカメラだ。このことについてはいろいろな話が伝えられているので、本稿では触れないことにする。



博多の快人、どるさんの持ち物だが、シャッターがチャージできず、代用シャッターをつけて、まるで蛇腹機の様な状態だった。

3台のバラバラ状態で送られてきたのだが、なかなか理由が判明しないまま放り出していた。
いつまでも放っても置けず、一台のLEUで検証してみた。





巻き上げレバーのトルクは軍艦部下で往復運動に変換され、それが鋸型のギヤで再び回転運動に変換される。奥に見えるギヤがそれだ。ここから噛み合いクラッチでシャッターのチャージ軸に伝えられている。



一台目で貼り皮がボロボロだと知り、本番用は剥がさずに切り取ってレンズボードを外した。



ここのギヤ同士の位置が大幅にずれていた。約90度違っていたのだ。経年変化による磨耗のレベルではないので、おそらく以前の分解時に合わせ間違ったのだろう。



これにて主要部分は直った。写真はバルブで作動を確認しているところ。



蛇腹カメラから35oカメラに変わる過渡期のものだと思う。構造的には蛇腹機用の00番シャッターをヘリコイドの先に固定し、リンクを使ってチャージとレリーズを行う仕組みである。操作感が良くてなかなか良いが、シャッターの位置は何とも中の方に入りすぎでいて、手の小さい人では使いにくい位置だ。質感はとても良く、高級感がある。独立の露出計は今も正確で、充てにして使ってもネガカラーならまったく問題は無い。

《試写》

モノクロの現像が間に合わなかったので、さしあたりネガカラーのみ。











ランダムな光と被写体だが、なかなか良い。発色の鮮やかさは見事だ。日陰部分は少し青に振るが、ほとんど問題ないと思う。
このカメラが意外に人気がある理由がわかった気がする。


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