フジの少年少女用カメラ、その名もフジペット。その2、35o判だ。
正直なところ、35oのフジペットは私のイメージのフジペットじゃない。悪いのではなくて、仕様や性能が良すぎるのだ。レンズはFujinar K F3.5 4.5cm で、シャッターはB、1/25-200だし、絞りは22まである。目測ながら近接は50センチまで寄れるし、パララックスの補正マークまである。1950年代の家庭用カメラの一般的要件を満たしている。四畳半二眼レフなどと同等の機能(フォーマットとファインダーは違うが)なのだ。
このこしゃくなカメラ、以前から欲しいと思っていたが、なかなか高価で手が出ない。やっと見つけたのが一応動くジャンクと部品取り用と前回のフジペットの3台組みだった。欠品が見えていたので他に入札がほとんど無く、非常に安く手に入った。
大体分解したところ。部品点数が少なく実に上手い仕掛けでまとめられていて、これは故障も少なかろうと思う。レンズとシャッターさえ無事なら大丈夫だ。
上カバーを外した状態。一台は巻上げが空回りしている。良くみると、バネが外れていた。
中に落ちていたバネがうまく付かないので、変形していると判断し、黄色い印の巻き上げ軸逆回転防止用の爪に適当にバネでテンションをかけた。
これで一本写してみたが、どうも様子がおかしい。
もう一台を開いて納得した。バネはこのようにかけるのだ。軸がフイルムの力で逆に回ろうとすると、このバネの元が回るからロックする。巻き上げするときには逆にロックを緩める構造だ。しかもこのバネが巻き上げのフリクションにもなっている。また、巻き上げに伴ってパーフォレーションで駆動された巻き止め軸のロック解除も、巻き戻しのロック解除もこのレバー一つである。スムーズでトラブルが少なく、これでセルフコッキングなら完璧だろう。
これが@Aレバー。シャッターセットとレリーズをシーソー式に実行している。フジペットから続く仕掛けで、見かけよりずっと使いやすい。一つはプラスチック部品が欠落していたので適当に作った。
低部には何も無い。裏ブタ開閉レバーとそのロック(フイルム感度インジケーターを兼ねる)だけが底板に引っかかっているのみ。
上を外して後から見た所。
完成した上部。これは部品取りの方だがレンズやシャッターはしっかり生きているので、欠品は作った。絞りの指標が無いのでペンで印をつけた。
裏ブタ周りが錆ていたので、錆を落としてウレタン塗料で塗った。
これにて完成。巻き上げノブが黒いほうがみやっち用のサブ機。ここから先のマーキングや仕上げは彼が担当する。
こうみるとノブ以外に違いはわからない。実際はファインダーの対物レンズが無かったので手持ちを加工したり、結構手がかかっている。
《試写》
いきなり実践投入した。近いうち発表の「2004柿田川」より数枚だけ。フイルムはプレストによる。
まさに水
公園内のごく暗い階段。意外に良く出ている。
ここも結構暗いが良く出ている。
拡大すると意外にピントが出ている。逆光はちょっと弱いが十分許容範囲、フードで改善する。
真面目な作りで良く写る。面白い。