グラフレックスJr.>


これは仲間のユキノフさんからの依頼で修復した。









グラフレックスの木製一眼レフ、Jr.は6.5×9のガラスの種板を使う仕様である。到着したものは、ご覧の通り相当みすぼらしい。中にそのまま入っていたホルダーはヒキブタが腐食し、浮き上がっていた。中には古い種板がそのまま入っていたが、もちろん光が入っているから使えるものではない。
シャッターはかろうじて動く状態で、レンズのみが美しい。ボッシュロムのテッサー2.1/2 3.1/4 F4.5はしっかりしていて、このレンズだけでも修復の価値がある。



ピントフードは破れていたが、簡単に外すことが出来たので何とか修復しようと試みた。



シャッターはグラフレックスのものらしく、小型のフンドシスタイルである。手持ちのシャッター幕では足りないので、何とかこれも修復してしまった。



当初の計画では、グラフレックスやマミヤRBのホルダーが使えるように考えた。アパーチャーは69でも十分あるので、それほど大変とは思わなかったのだが、何と取り付け不可能だ。上のシャッター巻き取り軸のふくらみが干渉する。これをかわす1センチほどバックの位置を後退させなければなら無いが、そうするとレンズのフランジバックから、無限遠がでなくなってしまう。
仕方なく、もっと小型のラーダのものを使う仕様に改めた。




ラーダをつけると今度はフランジバックとピントグラスが合わないのだが、これはピントグラスを下げることで対処できた。



ピントグラスを外して上から見たところ。幸いミラーは裏面鏡で、磨いただけで復活した。このタイプはシャッターに連動してミラーがバネの力で跳ね上がる。戻す時は手動でセットするわけだが、これがなかなか使いやすい。



シャッター幕はアクリル絵の具で補修し、シリコンなどの注油で復活したが、最高速用のスリットは上手くロックできない。それでも1/295秒が使えるから、実用上はなんら問題ない。



これがラーダのホルダ、645から69まで、赤窓で使いやすくは無いがとにかく実用にはなる。









たたむとコンパクトで、69としては軽いから使いやすそうだ。



《シャッターセットなど》

A プリテンション設定部。1−6まであるが、昼間はほとんど6で良い。
B ミラーチャージレバー兼シャッターロック。写したらすぐこれを戻すこと。ミラーで光漏れを防ぐから、ヒキブタが無くても光は入らない。 C シャッターセットつまみ。通常は3/8程度が使いやすい。ミラーレバーが定位置にならないと巻き上げ出来ない。シャッターは引くたびに動くので注意が必要。
D シャッターのスリット選択確認窓。シャッター速度はこことAで決まる。

《試写》



なかなかのものだ。この中心部が下の写真である。



さすがオールドテッサー、良いレンズだ。



肉眼でもぼんやりした富士山である。フィルター無しでもほぼ見たとおりのコントラストが得られた。空のムラは現像ミス



完全な逆光で、海辺だから激しい輝度差だが、真ん中のゴースト以外は何とかなっている。普通だと先ず写真にならない写し方だから立派だ。



ちょっとピンを外したが、それは私の目のせいで、カメラに責任は無い。ここまでは全てプレスト。



このカットのみアクロス。波しぶきを避けるために急いだから手ブレがあるが、すごいトーンだ。 このレンズは使える、そう思った。


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