タワーレフレックスである。タワーはアメリカのOEMを売っていた販社で、ソーヤーズなどと同様、日本やドイツなどのメーカーに自社の名をつけたカメラを作らせていたようだ。
二眼レフ虎の穴で布袋さんから送られてきた中の一台である。
イスコ・ゲッティンゲンとある。ドイツのイスコ社で作られている。レンズはイスコナー75oF3.5である。モノコートらしいが非常にクリアーなレンズで、素性の良さを感じる。
困ったのはピントグラスだ。前所有者(もちろん布袋さんの前の所有者)が、本来外に折りたたむべきルーペを無理やり中に折りたたんだらしい。おかげでピントグラスを割ってしまったので手放しと思える。
ピントグラスのサイズがわからない。オリジナルの取り付け方法もまったくわからない。おまけに手持ちの磨りガラスでは大きすぎて入らないので、アクリルで暫定を作り、いろいろ試行錯誤した。
何とピントグラスは上から落としこむところが定位置だった。しかも両側にはミラーボックスに向けて盛大に隙間が生じる。かと言って、ここを塞げばピントグラスカバーの開閉ができない。確かにこれで使えるから、これで良いといえば良いのだろう。オリジナルどおりかははっきりしないから、本当は上手いガードがあるかもしれない(無いと思う)
機構的にはリコーフレックス同様である。赤窓で前玉回転式だ。ただし、二重露光防止がついている。コダックの製品などと同様、一度シャッターを切るとロックされ、巻きあげるとシャッターが切れる。セルフコッキングではないが使いやすく、現実的な仕様だ。
外装は皮ではなく、ビニールシートで特に質感が良いわけではないが、すっきりした外観はなかなか良い。シャッターはVEROで、B、1/25-1/200の5段しかない。
《試写》
いつもどおり試写した。フイルムもいつもどおりアクロスだ。
周辺までびしりと決まっている。諧調もすっきり出た。これはなかなかだ。
微妙なトーンもちゃんと出る。
激しいコントラストでも、シャドーがつぶれたりしない。
きっちりした描写で、ボケも悪くない。
接近してみたが、しっかりしたものだ。
正直なところ、これほど写るとは思っていなかった。アメリカで売られた物だろうが、ドイツの手堅さを感じる。これは当たりのカメラだろう。
こ