FUJI NATURA S

新品カメラで現行機種は何年ぶりか、記憶に無い。

フジが夜景に強いというのをメインに出して、NATURA1600とペアで発表した貴重な銀塩カメラ、ナチュラSはどんなカメラだろうか。すでに大量のレポートがフジのブログに寄せられている。
仲間でも何人かの人がレポートし、モニターではなく自分で買って使っているから期待が持てる。

ブログかホームページがあれば審査してウエブモニター依頼すると言うので応募したら、落ちた。
モノクロばかりの私では任に足りないのか、写真が下手で話になら無いのか、それとも何を言うか分からないから危険と見たか、まあどれかあたっていると思う。大富士フイルムだから、判断は常に正しいのだ!

それならと近くのキタムラから店頭貸し出しを借りてみた。



仕様説明書と簡単なガイドがついてきた。



標準的コンパクトカメラで、外観は特に可もなく不可もなし。ストラップがせこい。



ここを見てデジカメだとほとんどの人が思ったようだ。実際、ここにこのファンクションではもったいない気がするが、表示が大きくて見やすいのは良い。モード変更の操作は簡単で好感が持てる。



上部にはシャッターの他は何も無い。すっきりしている。ファインダーはガードがずいぶん出っ張っている。モニターとの干渉から逃すためだろう。

《テスト撮影》

何はともあれナチュラ1600を入れて、暗いところを探して写しまわってみた。以下はフイルムからのスキャンで、輝度なども含めてDimage Scan Multi Uのオートに任せた。ただし色はまったく調整していない。



蛍光灯照明の室内にて。もちろんNPモードである。全てお任せで日の丸で写してみた。ちゃんと明るさは補正されているようで、人物はオーバー気味だ。発色は良いのだが、何かボケた感じがする。粒状性ではなく、全体に薄いベールをかけた雰囲気である。



夕方、近くのスーパーにて。オートフォーカスは素早く、シャッター遅れも感じないのでスナップには良い。これも顔がオーバー気味だ。軽い周辺落ちも感じる。



閉店したスーパーの自販機のみが照明しているところ。ほぼ見た感じの明るさ感である。



このカットはサービスサイズからスキャンした。周囲に灯りが何も無いところに立っているパチンコ店で、暗い駐車場から写してみた。プリントではアンダー部はしっかり描写され、諧調も悪くない。スキャンで損していると見て欲しい。実用上不満無い写りだと思う。



夕暮れ後の東向きの寫眞。いかんせんピントが甘いので、アンシャープをかけている。それでこの程度だから、遠いところは強く無い気がする。



これは最後の夕日が山頂のみに当っているところ。これもあまりにピントが悪いのでアンシャープをかけている。このカメラで風景はちょっと使う気にならない描写だ。色と粒状性ははなかなかなのだが。



モノクロでも試してみた。オリパン400(手持ちの400はこれだけだったので)による。400のままD-76で標準現像してみた。
テスト機を借りたキタムラ・富士市役所前店の店長、T氏。店内撮影にも快く応じてくれた。非常に気軽で良くやってくれる店なので、私の定番になっている。
ここは相当明るいので、本曇り程度の露出だと思う。周辺落ちは少しあるが、近距離では立派なもので、絞れば良いレンズとわかる。


太陽が雲の後ろにある激しい逆光条件だが、シャドウはちゃんと出ている。フレアーなどもなくなかなか健闘しているが、ちょっと精密感に欠ける描写だ。



これもまったくカメラ任せ。ピントも露出もなかなかだが、少しオーバーだった。

−−−総評−−−


1600ネガカラーフイルムによるNPモードは、実質的に二段階露出オーバーに設定され、ネガカラーフイルムの明るい方へのラティテュードを期待して、暗部のディテールを明るく出すと言うところに特徴があるようだ。これは、室内など光の少ないところでの人物撮影に特化した仕様だと思う。それも、トーンより顔を明るくすることで大方の女性受けを狙ったと解釈した。
指定のフイルム以外では事実上NPモードは使えないので、このフイルムのためのカメラともいえよう。

普通の使い方なら十分良い写真が写せると思う。ただし、安いネガカラーでもNPモードが使えるようでないと、スナップ用途の人には手を伸ばしにくいものだと思う。

実際に使う面において、このカメラの欠点も明らかになった。私が一番不満だったのはそのファインダーである。小さく見にくく視度補正も無い上に、パララックスも非常に見切りにくい。撮影途中でわざわざ三脚に据え、ファインター指標を信じて写してみたが、補正マークのはるか左側まで写りこんでいた。このファインダーは写す方向の確認以外には役にたたない。自分のものにするのなら、専用ファインダーを貼り付けたい。24oと言うことから、ファインダーは左右のパララックスの無い中央につけるべきだ。

露出補正可能の機種を追加したようだが、当然の処置だろう。不要な補正を解除したり、意識して変更できなければ、リバーサルなど使う気にならず、カメラがわかる人に売りたいというにはあまりに不親切だ。

とにかくこの時期に銀塩カメラを敢えて出したことは評価する。デジタルよりフイルムが勝る部分があるのだという姿勢は良い。それほど売れないだろう新しいフイルムを開発したことも立派だ。

【望まれること(筆者限定の感想)】

@ファインダーの改良
A露出の完全手動設定(切り替えスイッチ式)
Bシヤッター速度表示とシャッター速度または絞りの手動設定
Cフラッシュの完全キャンセル(キャンセルモードが保持されること)

以上の点が改良されるなら、中判等の撮影時のバックアップカメラとして、また、気軽なお出かけカメラとして欲しい。
現状では、エレクトロ35など昔の暗いところに強いカメラと、800ないし1600増感(モノクロの場合)から 持ち変える気にはならない。まあ現行機種でメンテナンス可能というのは利点だろうが、私にはメリットではない。



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