RICOH CADDY Part 2
前回の記事の後、この魅力的なカメラがどうしても欲しくなった。MADAMさんにお願いして探索したところ、大阪でちょっと難ありを発見してもらえた。それで無事手にすることができた。
症状としてはファインダーが良く見えないことと、巻上げが絡みやすいこと、露出計が怪しいこと、外観が汚いことだけだから難しいことは何も無い。
前回の作業で残ったパーツと組み替えたり清掃し、巻き上げ機構はセット位置を直して完了した。
みやっちと出かけたときに、リバーサルで写して見た。
この結果は予想を超えていた。露出計が振れ過ぎてあまり役に立たないことを除けば、ハーフサイズとは思えない見事なものだ。もちろんリバーサルからのストレートスキャンのみで、サイズ変更以外は何も加工していない。アンシャープを軽く使うとこんな程度になる。
試みにプリントしたものは立派な画質で、少なくともハーフには見えない。
そこで、スペアが欲しくなった。一台だけでは不安である。壊れたときも考えてもう一台探した。もちろん、単一機種を50台集めないと心配になると言うちょっと病気なプロもいるが、2台とほぼ一台分のスペアパーツがあれば、安心して使える。
ところが、私がつれづれ日記で一連の作品を発表した直後から、このカメラの中古相場が高くなり、全般に価格低落傾向のオークションでも、とても手に入らない。
ウオッチのみを繰り返していたが、やっと納得できるものが手に入った。
☆シャッターに至るにはレンズを外さねばならない。ピントリング回りの芋ネジを無限遠位置で緩め(外してはいけない)ると、ヘリコイドが露出する。外れるものはこのときに外して、確実にマーキングすること。また、何回転でどの位置で外れたかも明記すること。これを忘れるとピントの再調整が必要となるが、下に書いてある通り、合わせるのが困難なので絶対に確実にする。この後にマークしたリング類も外すわけだが、これらは位置が決まっているのでずれる心配は無い。
シャッターのスローガバナーが動かないキャディを整備した。
黄色がシャッターセットアーム。この先端が青いスローガバナーと赤のところでぶつ
かってスローをえている。
見たとおり、アームは逆レバー比が高く、巻き上げの最後が重くなるのはこのため
だ。これで得られる先端のトルクは微々たるものなので、この小さいシヤッターの
最高速が1/250秒なのは無理も無い。簡易型66に使われている単純シャッター
に近い構造なのだ。
このガバナーを整備したわけだ。すっきり直って軽く作動するようになった。
ついでにハーフを持ち歩くときにいつも気になるアイレットを追加した。ジャンクから移植の純正なので、こういう仕様のものがあったかもしれないという感じに仕上がる。これでずいぶん使いやすくなった。軽いので首にかけていてもまったく気にならない。
☆この後でピントの合わせ直しをしたのだが、もし挑戦されるのなら出来る限り高い倍率のルーペを使わなければならないと報告する。4−5倍ではまったくわからない。
仕方が無いので手持ちのジャンクレンズを集めて、おそらく10倍程度にはなるものでやってみたが、今ひとつすっきりしない。それでテスト撮影で修整と相成った。
これがきっちりマークして分解をお勧めする理由だ。(25ミリの短焦点系では、コリメーターを使うのが基本だろう。)
ファインダーが暗くて黄色っぽい。矢印のところのハーフミラーを金蒸着のもの(以前610さんにいただいたもののハギレ)に取り替えた。すっきり見えるようになった。
こんな感じになった。実戦配備完了だ。
二台並べて記念撮影してみた。ちょっとうれしい・笑
《追補》
仲間のキャディのシャッターについて、内部構造を追加する。
右から絞りリング連動部・シャッターハウジング・シャッターアセンブリー。後から3本のネジで絞り部が外れ、その下に出てくる3本でシャッターアセンブリーが簡単に抜ける(シンクロコードは外しておく必要あり)印のところがスローガバナーの裏側である。油が多ければここから一気にシャッターに回ってしまう。
シャッター幕は二枚、絞りは四枚で構成され、絞りは完全独立している。動きが悪いときはこの状態でベンジンの中で動かせば完全にドライになるだろう。その後、ボロンなどで手当てすれば完璧だ。
ご覧の通り、バリオ型の簡易シャッターで、中央の駆動ピンで二枚の羽根を同時に駆動する。回転形式ではないから非常にフリクションに弱い。シャッターに油が回った場合、その多くは根元と羽根の先端に集まってくる。分解洗浄が完全な仕事だろう。軽く拭いたくらいでは根元やハウジング内の洗浄は無理だ。完全にアセトンやベンジンに漬け込まない限り分解せずに完調は得られまい。2005 September