PREMO STAR PREMO



このカメラを手に入れて1年以上経過している。ケースに入ったフルセットで、どういうわけか飾るだけで、写そうとしていなかった。現在では手に入らない10.7×8cmのガラス乾板のプレートカメラで、写したければアタッチメントを作るしかないので、そのうちやろうとのびのびにしてしまったのだ。



このように乾板ホルダーが3枚と、小型のレリーズが2本セットになり、パチパチ三脚も付属したフルセットだ。

このカメラの来歴をいろいろ調べた。Scott's Photographica Collectionなどによると、

「The Premo Trademark (originated the name in 1893) was not originally Kodak's. It was acquired in 1907 when Eastman purchased the Rochester Optical and Camera Company.
In 1903, the Premo camera was changed to incorporate an invention (known today as the film pack) by the Englishman J.E. Thornton (Thornton-Pickard).」

つまりプレモは元々はコダックのものではなく、1893年に遡る会社で、1907年にコダックに買収されたそうだ。
私のカメラにはコダックのロゴやマークはまったく無く、コダック・プレモとも微妙に使用が異なる。



このプレート用シースには1890年にパテントをとったとあるから、少なくとも会社はそれより古い。
結局、1893年以降で1907年以前製造のカメラと言うことになった。まさに1世紀前のカメラである。



レンズには8.1/4 y 4.1/4 PREMOGRAPH と書かれている。前後二群構成で、分解不能だが厚みから見て、RR形式のように思われる。つまりドッペルアナスチグマートに近似している。また、前玉を外すと長焦点になる構造だ。絞りは8から128まで、シャッターはエアダンパー式で1秒から1/100秒までと、B・Tがある。最初はさすがにスタックしていたが、清掃と注油で機能がちゃんと直った。回復すると1秒もほぼ正しい。ライズ・フォールが出来るところはプレートカメラの基本どおりだ。



ちょうどポラロイドが近い大きさなので、これの4×5アダプターを使えるように板で作り出した。
難しい作業ではないが、面倒なのは事実。





いわゆる赤蛇腹、ピンホールが無いのは驚くべき耐久性だ。



オリジナルのバック部。スクエアなので簡単に縦横が選べるのはお約束どおりだ。



撮影風景。臨時バックは輪ゴムで本体に固定されている。元に戻すのはワンタッチだ。無粋なポリ袋はポラのゴミ入れ。これが無いとゴミの扱いに困るから絶対必需品なり。

《試写》

お盆の公園はどこも人が一杯なので、少し足を伸ばして富士山写真でも有名な、岩も富山公園にて。使用したのはフジのFP100C、FP100B、FP400Bである。気温30度と蒸し暑く時々雨がぱらついて、汗だくの撮影だった。



先ずはカラーでピントなど確認。結構アンダーで、シャッターが信用できるとわかった。ピント位置はほぼ良いが、わずかに後ピンだと理解。その後の撮影は少し修正して行った。



カラーバランスなどある程度補正したもの。それにしてもこれで100年前なのだから、素晴らしい結果と言えるか。



暗くなる中をどアンダーで遊んでみた。さすがに赤カブリなのでフォトショップで修整を少しした。



こちらは薄暗い通路から。バックはすさまじいオーバーで、ポラが飽和していた。ピントは大丈夫だ。



下界を見る。見た感じにほぼ等しい上がりになった。



最初のカットのモノクロ版。さすがに落ち着いたトーンになる。



昔のカメラらしいカットを写してみた。ちゃんとした上がりだ。



いい加減三脚で写すのは飽きた。ピントグラスで5メートルに固定し、ファインダーは無いからアバウトで手持ち撮影。このカメラの手持ち撮影は初めてだろう。



レリーズではなく、小さなシャッターレバーを引っ掛けて押すから、タイミングなど取れない。それでも何とかボールを打った瞬間を捕まえられた。(もちろんこの人たちにはあらかじめ断った。御礼に集合写真をプレゼントしたら、非常に喜ばれた)

重くは無いが扱いにくいカメラで、それでもいろいろ写して楽しめた。しかも結果は十分使用に耐えるできばえなのにますます驚いた。またまた、カメラの進化とは何か考えさせられた。
ポラではなく、ブローニー仕様にすれば、十分大伸ばしに耐える立派なものである。ガラス乾判なら平面性がより良いから、集合写真などには今も使える。木製で軽く持ち運びが楽なので、また写してみたくなった。


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