RB Auto Graflex 3 1/4X4 1/4

これは仲間のFBCさんからの修理依頼で直したもの。



最初の状態、マミヤプレスのホルダーを使っているが、大分改造されて強そうな金具が追加されている。しかし、大きな光線引きがあって、まったく使えない状態だそうだ。



手札のホルダーのロックに対してこのように固定していた。本体側はおそらくオリジナルの起毛紙、ホルダー側はモルトプーレーンで、少し劣化し始めている。
これでは本質的に無理がある。やわらかいもの同志が触れ合っているから位置が決まらない。ホルダーの位置決めのためのものは無いに等しい。その上、材質が劣化してくると大きく開いてしまう。



上がオリジナル、下がグラフレックスのもの。マウント面を分解して取り去ってあった。これでフラン時バックの調整シロを得ているのだろうが、ヒキブタは使えなくなる。オリジナルパーツは無い。



本来の枠に合うようにベニア板を切り出した。オリジナル状態のままに戻そうと言うわけだ。3ミリの板で基本を作り、ホルダーとの取り合いを見ながら周りは積層して強化した。



ほぼ完成、ホルダーへの取り付けはゴム系の接着剤だが、経験的に強度の不安は無い。ゴム系だと一気に剥がれ落ちることは無いし、作業が楽で早いから多用している。



板の部分を黒く塗って完成。このホルダーは干渉するところが多く、残念ながらアパーチャーグリルの中央にセットすることは出来ない。ホースマンやマミヤRBなどのホルダーが手に入ったら、後板ごと交換できるのでセンター合わせは可能だ。少なくとも私のところに来た時よりは良くなった。もちろん遮光紙は交換した。また、ピントグラスは2ミリほど持ち上げることでフイルム面と整合した。ピントグラスに実際の画面を見ながら写る範囲を入れて完成。

名前のRBはレボルビングバックと言う意味だが、この状態だとバックが干渉して不可能だ。フイルムを架け替えるときの機能で、8カット縦か横か決めて使うことになる。もちろん縦にして写すのは可能だが、ピント合わせと固定は大変なことだ。



スペアレンズのボード製作。本体がバックの関係で少しシフト+ライズになっているので、少し調整してみた。



これがスペアレンズ。Orikon 210mm F6.3 栗林、つまりペトリの前身である。バレルレンズは珍しい。



おそらくオリジナルのレンズ。コダック製だが焦点距離やレンズ名の表記が無い。およそ180oで2群4枚だと思う。きれいなバレルレンズでコンディションはとてもよい。



非常に良く伸びる蛇腹で、オリジナルレンズだとレンズ前30cmは近寄れる。一眼レフの利点が感じられるが、これだけ伸ばすとベローズファクターを考慮しなければならないだろう。



古典的フォーカルプレーンのシャッター速度テーブル。とてもじゃないが全部は使い切れない。スプリングは固定してスリットを選ぶのが得策だ。



畳んだところ。これでもずっしりとしていて、気軽に持ち歩くのはなかなか難しいだろう。



ということで全て完了した。

《試写》

アクロスにて実施してみた。



雨で夕方の室内である。無理を承知の開放で動くものを追ってみた。スキャンで無いと無理な画像だったが、ピントグラスがちゃんと機能していることはわかる。オリジナルレンズ



F8でのカット。さすがにピントの合う範囲は狭い。トーンは良い。オリジナルレンズ



栗林のレンズは6.3と暗いので、このくらい明るさが無いと大変だが、トーンは素晴らしい。絞りは8だった。



上のカットの合焦させた部分。ピントも完璧だろう。この質感は35oでは出ない。





これらは光漏れの最終点検のためプレストにて写してみた。下のカットは無圧縮の中央部。写真としてはもっと前にピン合わせすべきだが、あえて前ボケを見るために後気味にした。プレストなので11と16の間にしたが、被写界深度を考えれば、22−32程度で写すべきだろう。しかし普通絞りで手持ちでは、絞り込むと見渡せないので、その辺がつらいところだ。

☆木製一眼レフはいろいろ扱ってきたのでそのノウハウがレストアに役立った。また、精度が低い加工でも何とかなるのが大きいカメラの良いところだ。
古典的バレルレンズの質感描写はやはり圧倒的だと再認識した。今回のレンズはどちらも古いタイプのスピグラにボードごと使える。4×5は十分使えるレンズの中央部だから、贅沢この上ない。
やはり、良いものは良い。


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