FUJIPET 35 (Part 2)
過去にフジペット35はレストア記事を書いている。今回はその続きだ。一応前回報告のものとはわずかだが違う部分のある前期型なので、まあ良いか。
前回報告のものは、海を渡ってオランダに嫁いだ。アムステルダム在住のりえさんの者が壊れて、私のところに送られてきていたのだが、すぐに直るレベルではないので私のものを送ったのである。
残念ながらシャッター部分の部品破損で直せないので、欠品ありのジャンクを手に入れて、それを整備した。
巻き上げノブ欠品は手持ちから使えばそれで終わりだが、ヘリコイドは無限縁で止まらないし、シャッターの動きがどうもおかしいので、開いてみた。低速が不調だが給油しても不安定だ。
よく観察したら原因判明。赤印のところに挟まっているピンはシャッターリングの回転リミッターで、本来は黄色い印のところにあるはずだ。これが外れ、スローガバナーに引っかかっていたので、シャッターリングはくるくる回るし、スローがおかしかったのだ。
本来の位置に戻したが、カシメが緩んで役に立たないので、瞬間接着剤で仮固定し、セメダインスーパーXで根元を強化した。
ピンは調速リングのストッパーであり、このプラスチックリングの周り止めでもある。
このピンはアルミ板の穴にカシメられているだけなので、きつく廻すと外れてしまうのだ。そう言えば、りえさんのものも同じピンが外れていた。このピンは、とシャッター速度リングの周り止めだけでなく、ヘリコイドのストッパーも兼ねている。
このピンはフジペット35のアキレス腱というわけだ。シャッター速度調整では、リングを廻しすぎないことが大事である。今現在壊れていないものでも、出来れば根元を強化しておくこのが良いかもしれない。
ほぼ二台分のシャッター周りとレンズ。
と言うことで完成
《試写》
アクロスにて実施
1/50秒、絞りは5.6である。速い動きだったので少しぶれたが、なかなか良いトーンだと思う。フラッシュフジカやGERなどと共通するピントの感じで、子供用カメラと言いながら手抜きが無い。
1/200秒で11まで絞った。最高速が1/200秒は高感度フイルムには使いにくいだろう。コンクリートや濡れた砂の質感がなかなか良い。
田植えが終わった田圃と、雨雲に覆われだしたバイパスと工場。こういう遠景描写はプラカメなどが弱いところだが、立派な諧調で堂々としている。
☆レンズ周りのデザインなど玩具のようだが、中身は立派だ。本格的なレンズと50センチ以下まで迫れるピント範囲、きちんとした絞りと、B 1/8 - 1/200 のコパルのシャッターなど決して子供用ではない。シーソー式のシャッターセットとレリーズは、二眼レフなどの一本レバーが進化した感じだ。シャッター音はきわめて小さく、手ごたえも少ない。小さくてチープな外観なので、スナップしていても目立たない。
本当は誰を対象にしたのか、不思議なカメラである。