SEMFLEX 4.5

この赤窓式セムフレックスは、掲示板を通じて知り合ったDukeさんのものだ。お住まいがごく近くなので、お会いしてレストアを引き受けた。



症状は、低速が出ない・シャッターセットがしにくい・空振りするとシャッターが開いてしまう、など典型的な引っかかり症状だ。
コンパータイプのシャッターで黄色がセットロックだが、バネが弱いのと動きが渋いのでセットしにくくなっていた。
赤い部分がスローガバナーで、スタックしていて最高速のまま固定していた。



セットリングは外し、まずはバネを強くして見た。



こちらはスローガバナー。完全に油切れで止まっていたが、清掃給油で復活した。しかし、このタイプには往復運動でスピードを強制的に落とす部分が無く、フライホイール回転の効果で速度を変える仕組みだが、フライホイールは非常に簡単に周り、とても規定タイムにする抵抗要素にはならない。これをいじるとすると、何らかのブレーキをつけるわけだが、外周部のトルクはきわめて低く、ちょっとした接触でも止まってしまってシャッターが開きっぱなしになってしまう。よって、速度が全て速め(最高速を除く)になるのは承知で組むことにした。
前板はロックが非常に硬くなっていて、ドライバーとハンマーで外す必要があった。局部的な錆が原因である。もちろん給油しておいた。



仮組みして作動確認中。この時にうっかりすると部品を飛ばしたり、連携が外れるので、調速リングを嵌めてから行うのが正しいのだが、リンクの動きを確認するために行った作業である。



テストでは何とか動くようになった。



特別な部分は何も無いが、どこかおしゃれだ。フランスのセンスだろうか。





赤窓式だが信頼性は高い。壊れないだけ良いかもしれない。

《試写》

あいにくの梅雨空が続き、なかなか写せない。何とか晴れ間を狙った。フイルムはアクロス



雨の夕方のどんよりした中で、これはなかなか良いだろう



ほぼ開放だが、合焦部はきちんとした描写である。周辺の流れも少ない。暗さの中の諧調表現はなかなかのものだ。



ピントおよびシャッターテストの中の一齣

☆目で見た感じのコントラストや明るさに仕上がるレンズだと感じた。もっとノスタルジックだろうと言う予想とは違っていた。なかなかのものだと思う。

Dukeさんのところに戻ったら、なんとまたシャッター不調が起こってしまったようだ。途中で何か銅の部品が落ちてきたそうだから、スローガバナー周りの問題だろうか。ご自分で何とか使えるレベルにされたそうで、一安心した。



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