FUJI HD-M

フジのヘビーデューティカメラ、HD−Mである。不具合、欠品ありということでやってきた。



HD-1から変わらぬ、フジノン38o2.8、つまりフラッシュフジカの傑作レンズで目測という基本仕様は1や廉価版のRと変わらない。見た目は1やSと近く、レンズ周りにピントリングがあり、ファインダー内には距離のピクトグラムという点も同じだ。
たどり着いた個体はセルフタイマーが作動しない(開始するがシャッターを切ることが出来ない)点が不良なだけだった。電気制御の機械式シャッターなので、タイマー動作の後にソレノイドなどで機械的にシャッターを切るのだと思うが、そこの接点かソレノイドの故障だろう。使わないので触らないことにした。その他には不具合はなく、セルフと感度表示のフタが欠けていたが、適当に黒いプラスチックでカバーしてレストアは完了(というより、掃除のみだった)



Rと比較すると、巻上げがモーターだけに上部はシンプルである。右のレバーがセルフタイマー設定用。



内部をRと比較しても、巻上げ方式の違いしかない。
しかし、Rは日常生活防水、Mは一応水中撮影可である。この違いはどこから来るのか。考えてみた。

Rは手動巻上げなので、巻上げレバーと巻き戻しレバーの存在がこの似機種の大きな違いだ。巻上げレバーは軸側とベース側の二箇所にOリングで防水している。ここの動きは大きく、かつ頻繁なので、シール性能が保ちにくいからではないかと思う。ニコノスも同様のシールだが、こちらは水圧でシールを押す構造になっている。フジはそこまで徹底していないから、防水性が低いのだろう。もちろんハウジング自体が大きな水圧に耐える構造ではないので、Mと言えども「ちょっと水中撮影」程度であり、本格的に潜って写すことは不可能だ。
(巻上げ動作などを水中でしなければ、Rなどで水面下を写すのは保証外だか可能だ。)



電池を巻上げにも使うので、Mの電池ボックスは大きい。しかし、単三が二本だから巻上げ速度はのんびりしたものである。電池の管理はMでは特に重要だ。

《試写》

このレンズは過去に一杯写しているので、作動確認と言うことでラッキーのSHD100を使ってみた。



激しい雨の中だが、フラッシュを使わずともちゃんと笠の中の人物を表現している。



これも相当に暗いのだが、しっかり写った



雨のテントの中は100では如何せんである。アンダー警告が出た。テストも兼ねてフラッシュを使ってみた。ごく近距離なのでハイライトが飛んだが、ラッキー100だとこんなところか。

何台目になるかわからなくなってきた防水カメラ、フジのHDシリーズはどれも安定していて信頼に足る。Mについては巻上げオートなので、しばしば目測を忘れて写してしまうというのがある。フルオートと錯覚しやすいというのは唯一の使いにくさか。ともあれ立派な実用品だ。


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