FUJIPET EE

富士の子供カメラ、フジペットのEEバージョンである。
なんと言っても明るさに応じて露出が変わるのだ。お子様用ではなく、立派な・・・誰のカメラかな・笑

このカメラはdukeさんから廻ってきた。外観はきれいだが、露出計は使えないと言うことで、まずは開いてみることにした。と言っても、内部から4本のネジを外すだけで、前部の主要メカがごっそり外れる。



なんともシンプル、いや、整備性が良い。



レンズはFUJNAR-Sである。名機なのだ。シャッターはバネ一本で動く省エネタイプのエバレディ、つまり単速で、バルブも何もついていない。軽くチャージ無しで何度でも切れる。撮影タイミングを逃すはずも無い、多分・・・



これがEEメカ、露出計がダイレクトで絞り(単なるスリット)を動かす。セレンと露出計の間に感度を変更するものは存在しないから、ASA100(推定・内部のフイルムの絵はネオパンSSが純正と示しているから)フイルム専用仕様である。針はふらふらだが、明るいところではちゃんと動く。ちょっと暗い(本曇りや夕刻)と完全にストップする。昼間専用だ。
ファインダー右の窓にある赤い印は単なる露出警告サイン。針が振れない場合はフラッシュを使えと言うことだ。



実際に露出計が動いた状態。スリットが絞り込まれた。
このメカで疑問になるのは、横にしたら値が変わるのではないかと言うことだが、フジフイルムの技術者はそんなローレベルではない。針の途中に巻かれたカウンターウエイトがバランスを取っているのだ。 この状態で横に向けても、針の位置は変わらない。つまり、重力に(大きな)影響は受けず、正確だと言うこと。

ファインダーは内部がピカピカで、前の窓にはダミーの印を入れるために周りがまたまた光る。いくらピントあわせが無いとは言え、被写体が良く見えないのでは困る。反射防止塗料を塗り捲ったら少し改善した。



フイルムゲートは湾曲している。収差補正に簡便なので、単玉カメラには良くある。



と言うことで完成。露出計は壊れてはいなかった。最初に見たときは、曇りなので開放になっていただけなのだろう。元々壊れそうなところはない構造だ。

《試写》

100指定なので、アクロスで試した。本当はプレストとNDを使えば、対応範囲が広がる。また、露出計に小型太陽電池を並列し、これを切り替えることで色々なフイルムに対応可能に出来る。しかし、テストはあくまでオリジナルということで、そのまま使ってみた。



どの辺にピントの山があるか、露出計の設定はどうか見た。結果としてはピントは予想通りの3メートルくらい、絞りはほぼ適正で、ハイライトもシャドーも焼ける範囲に入っていた。絞り込まれるので、周辺も思ったより良い。



暗い森の中。絞りはまったく動かず開放であるが。ネガ濃度は十分で、薄暗いところまでは使えるとわかった。



遠景を写してみた。まあ単玉ピント固定だからこれでも健闘しているといえるだろう。

☆子供の玩具と言うにはちょっと高級だ。固定焦点、固定シャッターでこれだけ写れば文句は言えない。意外なほど真面目に作られている。ただし、市場の価格は異常だ。希少価値からだろうが、普通のフジペットでもそこそこ写る。過大な期待はしない方が良いと思う。


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