RICOH "35"S



外観でわかるとおり、戦後のリコーの35oカメラの典型のスタイルのカメラである。シーソー式のフォーカシングと、トリガー巻上げ、フラットな軍艦部は後の500シリーズなどの元になったようだ。

リコーのジャンクの典型で、シャッターが巻き上がったままスタック、ヘリコイド固着である。これらはお約束どおりの方法で復活した。



軍艦部の分解。しっかりした距離計で、清掃で二重像もきれいになった。距離計のズレだけなら上と前にある大きめのネジを外せば簡単に調整できる(実際に撮影中に調整した)
巻上げはまだノブ式で、カウンターもリセットしない。簡単な機構なので注油で軽快になった。



肝心のシャッター周りだが、ヘリコイドは力任せに押したところ、動き出したので裏からミシン油をごく少し入れて動かしていたら軽くなったので、分解は止めた。(ここをバラスのは面倒だし組立は尚更面倒だ)
シャッターはレンズを外してベンジンを流したらあっさり動き出し、以後快調なので分解せずにそのまま使っている。
黄色いレバーがシャッターセット、赤い方はレリーズ用だが、セットレバーはこの頃のリコーのもの共通で、きわめてストロークが少なく、前板のネジ止めが完全で無いとセットできない。レンズバレルだけでシャッターチャージするのはほとんど不可能と良いところが無い不思議な構造だ。整備ではシャッター単体のテストが極めてやりにくい。


実は、最初のテスト撮影は見事に光線を引いた。原因は前板と本体との接合部にあった。まったく段差が無くフラットなネジ止めなので一度分解するとわずかな遮光塗料が剥がれ、あっさり光線を引くという欠点がある。ボディー側に遮光紙を貼り付けて対処した。



レンズは典型的な45o2.8である。リコーによれば富岡のレンズとのこと、リコーの良いカメラ共通事項だ。



時代的にはきわめてすっきりしたカメラである。



上はシンプル、ホットシューまで装備している(鏡筒に独立端子あり、ただしM接点で切り替えなし)



下はウラブタ取り外し式にトリガーつきで、後のシリーズと共通仕様だ

《試写》

最初に写したものはほぼ全滅だったので、遮光対策して急遽ラッキー100でテストした。



光漏れは止まり、激しい逆光でもしっかりとしたディテールが出て立派なものだ



晴れた日の富士山は極めて明るい。雪が降ると尚更だががんばっていると思う



最初のテストはコダックのE100VS、ただ一枚セーフのカット



ただ今ネガカラー現像をSCRさんのご指導を頂いて研究中。これは大笑いのトンでも現像(ただ今鋭意努力中)

色々あったが使って面白くて癖になるカメラだ。トリガーは重いがきちんと作動し、切れのあるレンズなので楽しい。


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