KODAK Browny Target 6-20

コダックは多くのボックスカメラを作っている。これは620フイルムを使うもので、ターゲットと言うペットネームの物々しさとは逆で、「ユルイ」カメラだ。
北の旅人、フォレスターさんから頂いたレンズと一緒に到着した。



到着した時には惨めな状態だった。レンズボードは半ば剥がれ、シャッターは開かず、紙で出来たボックスから抜くのも大変な状態だった。



分解し始めたところ。上に乗っているのは絞り板で、二つの絞りが見える。シャッターは引っかかっていただけで、簡単な整備で復活した。



これがフロントカバー。レンズではなく保護ガラスが入っている。組立は下部は木に釘で止められ、上部はいわゆるブリキ細工で引っ掛け留めになっている。釘を抜き、上部のかみ合わせを外し、シャッターレバー側にひねりながら抜き取る。言うのは簡単だがここまで判るのに時間が掛かった。



分解できれば整備は簡単だ。シャッターはBとインスタントの二速だけだし、絞りは穴あき板をスライドさせるだけだ。レンズはもちろん一枚のメニスカスのみ。
ついでに絞りを一段絞れるように薄いワッシャを貼り付けた。計算では一絞り絞り込めるはず。



コダックの他のタイプとまったくと言って良いほど同じシャッター。バネの強化で少しは早くなるが、強度の保証は無い。



反射ファインダーのミラーは両方欠落(一枚は中に落ちていた)、接眼レンズも両方無いから、ミラーは適当に切り出して補充し、擦りガラスでピンとを結ばせるように改造してみた。



ボックスは紙で出来ているが、強度はしっかりしている。質感も悪くない。



このように中に入れる。内側には120ではなく620フイルムを使えと書かれている。



完成図。まさに良くあるボックスカメラだ。

《試写》

もともとの絞り穴だとF値は14と20である。100のフイルムで1/50秒程度のシャッターなので、ほぼ100で使えるが、これを30程度に絞り込めるようになったから、EV14-15を晴天戸外として400のフイルムはオーバーでもえると判断した。そこで、絞込みを前提にプレストを使ってみた。



3メートルでピントはちゃんと来ている。意外なほど描写が良い



被写体には楽なポーズで静止を頼んだ。開放で4秒ほどである。計算どおりの明るさになった。



遠景もそこそこきている。1−1.5段オーバーだから、実用ではY2フィルターを使うとより良いだろう。



中心部は意外なほどの解像で、69のベタ焼きなら不満は無いとわかる。

☆ボックスカメラは昔のレンズつきフイルムだと思う。家族の肖像にはぴったりの形式だ。さすがコダック、見かけと違ってきちんとつぼを押さえたカメラである。
原始的だが楽しいレストアだった。こういうカメラは中が広々していて単純だから、簡単に思うかもしれないが、ネジではない留め方など知らないと壊すだけになるだろう。

フォレスターさんありがとうございました。


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