Voigtlander VITO

フォクトレンダーのVITOと言っても、金属・距離形式の名カメラではない。フォクトレンダーがツァイスに吸収され、ブランド名のみが一人歩きするようになってからのものだ。作ったのはバルダだろうと言われているが、定かではない。



スタイルはミノックス35と瓜二つ、しかしレンズの繰り出しメカや組立方法、シャッター速度も出ないファインダーなど、改良と言えるか疑わしい相違点はある。ミノックス35自体がバルダで作られたと言う説もあるからますますややこしい。この後にもC・CS・CEなどのバリエーションがあるようだ。

これにはシリーズ共通のVCS18という専用フラッシュがあり、つけたところはオリンパスのXAに似ていなくも無い(写真は後日)

レンズはなんとF5.6の38ミリという恐ろしく暗くて半端な焦点距離で、この点は明らかにミノックス35に劣る。しかし、手ブレさえなければ数秒のシャッターが切れるので、意外にも暗いところにも強い、ただし三脚は必須だろう。使っているとフラッシュマークが頻繁に出る。



少し周辺が落ちるがまあ使えると言えるだろう。レンズ付フイルムと同等の大きさ重さは35ミリフルサイズとしてメリットがある。常にポケットに入れて持ち歩くのは苦にならないからだ。ただし壊れたらこの大きさだから、修理はとても面倒だと思う。目測だがほとんどパンフォーカスなので、特に近接する場合以外は面倒も少ない。


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ADOX

カメラの正確な名前も含めて良くわからない。検索しても確たる話は不明だ。ドイツ製であることと、ラジオナーF2.8・45oをつけた普及機で、1950年代にアドックスから売られたらしいということだ。
本体はプラスチック製で、見かけよりは軽いが、意外にしっり作られているので安っぽさは無い。



ファインダーが見難い。アルバダ式だが手前のごく薄いガラスがかびていて、向こうがぼんやりする。分解すると豪勢なプリズムがあるのだが、この表面もカビが出ている。どうせ距離計は無し、ファインダーは目安なので、フレームの書かれた薄い反射板はどうにもならないので捨てて、プリズム表面を磨いて何とかみえるようにした。正確な撮影範囲は、この手のファインダーの常識的な範囲と言う事で写せば普通には問題ない。これで学術調査資料を写すわけではないからかまわないのだ。裏蓋の蝶番部分が破損していたので、これは接着で直した。幸い、露出計は生きていた。



1940−50年代の目測VITOによく似ている。もしかすると元は同じ会社で作られたOEMではないかと思う。ドイツは分業が盛んで、OEMも良くあるので考えられる。

《試写》

レンズは以前ドリナUで試したラジオナーである。焦点距離が違うし時代も異なるがどうだろうと思い、何はともあれ写してみた。シャッターを押すと引っ込んだままになりやすく、戻りが悪いが、まあ使えた。



特に印象に残る色ではないが、暗いところが見た感じに表現されるのは美点だろう。二枚目は露出は適性なのにカラーバランスが大きく狂っている。ここはもうすぐ刈り取りの稲なので、この色はいかにもおかしいが、原因不明だ。ラーメン屋の写真は、車の窓越しなので、歪みと反射があるから参考にはならない。露出計の出た目で写してみたが、コマは揃っていた。


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