OLYMPUS WIDE



オリンパスワイドは、JFCのHIROA会長の記事に寄れば、発売: 昭和30(1955)年9月、価格: 16900円とある。同時期のコニカUbが21800円とあるから、廉価と言えただろう。
しかし、それでも当時のサラリーマンの平均給与より上なので、決して安いものではない。しかも、**ワイドと言われるカメラは今でも人気が高く、中古相場は異様としか言えないから、貧乏人の私には高嶺の花だった。
先日、時々(数ヶ月に一回)巡回している山の中の骨董屋にこれが転がっていた。店主はカメラに疎いので、価格設定は目茶目茶で、この小さいカメラがとても安く出ていた。
ただし、オリンパスのこの時代のものは、後玉が白濁するものが多い。安くても白濁していたら意味がないが、幸いまったくその傾向はなく、シャッターも正常と言う逸品だ。もちろんその場で買って、帰り道にはフイルムを入れてしまった。



レンズはDズイコーF3.5と暗い。この大きさはペンのレンズと等しい。採光式ブライトフレームの見本のようなファインダーは、黄色っぽいがとても見やすい。倍率は0.6倍程度かと思う。
軍艦部は特に問題がないので清掃のみ。逆ネジはないし、左右のノブはほとんど同じものだ。アイレットが軍艦部を止めているのがちょっと珍しいか。ネジが揺るんでいたので、下も開けてみたが、まさに何もない。



巻き戻しノブには昔のフイルムを示すインジケーターがついている。HS.PANはハイスピード・パンクロマティック(全感色性)の高感度フイルムのことだが、おそらくASA50程度のモノクロをさすのだろう。時の流れを感じる。



どこと言って特徴のない、ちょっと小柄なボディーで、極端に小さいレンズがハーフみたいだ。巻上げなどはスムーズだが、ヘリコイドの回転に伴って、絞りリングも回転してしまうので、とてもわかりにくい。まあクリックストップで「F8の5メートル」に固定し、フイルム感度でシャッターを決めれば後はパンフォーカスという写し方がお約束なのだろう。驚いたことに60センチまで寄れるが、パララックスは大きく、フレームの1/3はずれる。しかし、開放でもけっこうピントが来るから、ちょっとしたメモのような使い方も考慮されていたのだろう。

《試写》

まずモノクロでピントなど全体をチェックした。あいにく雨なので、ほとんど開放がためされることになった。イルフォードFP4+



最初は「レンズがアウトだ」と思った。良く考えたら距離リングの代わりに絞りを廻してしまっていたと気がついた。ピントはごく近くに合っているのだ。図らずもアウトフォーカスのボケ味をテストしてしまった・笑



ずいぶんローコントラストと思うだろうが、見た感じに近い。



逆光には相当弱い、フードは必須だがも画面内に強い光があるとハロになってしまうようだ。



ピントは1.2メートルくらいである。この諧調は良い、使えると思いネガカラーもテストした。



明るさによって色再現がガラガラ変わる面白さ、暗い海辺は大幅に青に転んでいたから補正した。周辺落ちもあるが、独特の色と描写だ。隣の芝生は無補正見本。明るい場目は無補正だが、逆光にはやはり弱い面もある。順光での感じはとてもよい。

面白いカメラだと思う。もう少しいろいろ写さないとわからない。ズイコーのようなそうでないような、実にいろいろの面があるレンズだと思う。


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