武蔵野光機 リトレックビュー



ヤフオクで一式で手に入れた。出品者は古物商だがこの手のカメラは知らないらしく、組み立てもせず畳んだまま展示したから、大型のケース込みでヤフオク相場の1/3以下で手に入った。
中に入っていた名刺から、元は信州の写真館の所有だったとわかった。手書きの簡易露出表などもあり、きれいだが30-40年は経つものと思われる。それにしては、錆一つ無い。

セットにはレンズとホルダー以外の必需品が揃っていた。大型ソルントンとシャネルの五番にレンズボード三枚、フード、57と八つ切りアダプターなどである。



本来が5×7のカメラである。残念ながら4×5のアダプターは無いので自作した。当然他のサイズにも使えるように、標準の取り付け形式を守った。



スピグラ34のカットフイルムホルダーからスプリングのみ拝借、後は手持ちのベニヤや角棒などで作ったが、総工費は300円ほどだった。ピントグラスは普通のスリガラスを切ったものがあるのでそれを使った。
要領がわかったので、将来8×10のバックも作って見ようと思う。それほどたいした作業でもないから、ピントグラスだけあれば簡単なものだろう。



フロントはライズ・フォールとティルトだけだが、バックはシフト、スイング、ティルトと予備の繰り出しがついている。移動量的には少ないが一応フルモーションと言える。実際にフィールドでこれら全部を使うことはありえないので、十分な機能だ。
ノーマルボードで300ミリも使うことが出来る繰り出し量があり、フィールド用のビューカメラと言うにふさわしい機能だが、レンズやバック無しで3.5キロとちと重い。しかし、その分堅牢だ。前任者(おそらく古物商)が良くわからないまま開閉しようとして蛇腹にちょっと悪い癖がついている、これは少し湿らせて、軽く整形して乾かすことで解消するだろう。



レンズは一応これだけ揃えた。

標準は610様拝領のダゴール180oだが、テッサーの180oとコダックの71/2インチがスペシャルルビーにつけてあり、これらも使える。このカメラの標準は、フジナー180oと資料に出ている。手持ちには150oがあるので、お仕事的に写すのはそちらと言う手もある。
広角はアンギュロン90mm、ブロードアロー(英軍用レンズ、詳細不明)の推定120ミリと、前後玉のみ入手だったので、ジャンクなズームから取った絞りを中心に組み立てた、ラジオナー135ミリ ( どなたか0番シャッターがあったら譲ってください ) が勤める。
望遠はニッコールの300oとコムラー400o(望遠タイプ)などで、その他に使えるものが何本かある。

メーカーどころかシャッター付から古典的バレルまで雑多だから、リバーサルなど写したら、色が揃わないだろう。トーンが一致するなんてのはまったく期待できない。
しかし、写すのはモノクロだから、まったく私には「”これでいいのだ”!」



《試写》

今までしっかり使っていないレンズを中心にテストした。



中央部
バックのせいどょみるために、引きの無い室内でも使えるブロードアロー(英軍用レンズ)を絞り開放でテストしてみた。距離はレンズの前から40センチである。結果は1センチ弱の前ピンだった。最悪の条件でこれならピントの心配はない。



実質的なファーストカット、ブロードアローによる。



左がブロードアロー、右は同じ位置からダゴール、富士山のみガスがかかっている。



典型的秋の富士山ショット。下はその中央部



大きい写真(接続の悪い方はご遠慮ください)



コムラー400o



ラジオナー135mm(ケラレはフードのズレによる)

テスト結果は本体が完全なのでレンズテストになった。それぞれ大体期待通りなので、今後はいろいろな被写体で写すことを楽しみたい。
問題は、全てをケースに入れて運ぶと10キロを越えること。これを読んだらdaddy氏を大判に引き込め作戦が頓挫するかも・笑

実際には本体とその時使用するレンズとフイルムだけ運ぶので、それほどのことは無いが、実際問題として重い三脚まで考えると、持って運ぶのは体力勝負だ。


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