Goltz Mentor>


610さんからいただいたセット中最大のものは、このメントールである。ドイツのゲルツで作られた木製一眼レフで、グラフレックスやソホなどとほぼ同じ形式だ。19世紀終わりから1960年ごろまで作られたらしい。



大名刺程度のカットフイルムを使うものと思われるが、ブローニーホルダー付で69判が使える手ごろな大きさ。ラーダのホルダーだとラジオナー135mmF4.5を付けても2キログラム弱になる。ホースマンのホルダーだと2.3kgだった。35oの一眼レフと比較して、巨大という印象は無い。皮の古さなどから戦前のものであるのは間違いない。



ホルダーを付ける細工中。差し込み式のカットシート枠を利用して、ベニア板を入れ、そこにホースマンホルダーの開口部にあわせた穴を開け、接着した。このホルダーは専用にするつもりなので、接着しても問題ない。固定が楽になった。(後悔する事になるとは思わなかった)



シャッター幕はすだれのように穴が開き、使えそうになかったが、右側面の木ネジが錆びていて分解が面倒なので、さしあたりと言う事でアクリル絵の具で補修した。結果として遮光できるようになり、スリットも変更可能となった。スリット幅とバネレートの変更でシャッター速度を変えるので、66通りの速度が表になっている。変更は楽だが空シャッターを切らないとスリットの変更が大変だ。近いうちに完全に直そうと思っている。
シャッター幕は二枚だが、先幕は常に一定位置で動き、その先につながっている後幕との間隔ををリボンで変えている。つまり二枚がつながってスリットが開いたまま巻き上げることになるが、ミラーの遮光がしっかりしているので、セルフキャッピングでなくても連続撮影にヒキブタは不要だ。



ピントグラスはほぼ69にマークされている。フイルムバックを縦にすれば縦位置撮影も可能だが、私は横位置以外写す気は無いので、特に変更しなかった。清掃のみだ。



ミラーは薄い裏面鏡だが、つかえないほど曇っていたので、知り合いのガラス店で普通の鏡を切ってもらった。二枚で50円とはびっくりだ。これでピントグラスに絵が見えるようになった。



ホースマンホルダーの装着状況。機構的にはとても使いやすいのだが、何とテスト中に故障して巻き上げストップしなくなった。接着したのを外し、修理にまわした。



ラーダ(645から69まで対応する赤窓式ホルダー)に臨時で変更した。差込式なので3ミリ幅で厚さ1ミリの角材でレール受けを作り、下から遮光紙でフリクションと遮光を行うようにした。当然取替え可能である。



ピント調節以外は右側に集中している。シャッターセットノブはレリーズすると回転するので、注意しないとムラになる。シャッターのストロークは2センチあり、慣れないとレリーズが難しい。





完成図


レンズは一先ず3本用意した。メインは135mmのラジオナー、これはちょいと問題があるのでサブがアグファの135ミリF6.3、4×5との共用のテッサー180ミリとフジナー210oはレンズボードを作ってある。一眼レフなので、レンズの自由度が高いが、フランジバックが短いので、広角はます無理だろう。できれば90mmも使えるようにしたいが、蛇腹内部が狭いので口径の大きいものは収容できない。テッサー100mmが使えないか検討中。

《試写》





ラジオナーはどこにピンがあるかわからないとほほレンズである。正規のバレルに入っていないので前玉と後ろの間隔が狂っている。



テッサーはさすが名レンズ、しっかり使える。これは光線曳きで画面の1/3だ。
トラブルを起こしたホルダーを代え、ラジオナーを組直した。そこで家の近くで再テストしてみた。



非常に暗い雨模様なので、このくらいなら良いだろう。





どちらも絞り開放だ。ピントは一点しか合わないが、使える。どちらもシャッター速度は1/250に設定したが、少し速めのようにも思う。しかし、心配していたシャッタームラは無い。シリコン処理したので各部の作動がある程度均一になっていると思う。



絞り開放・1/20秒距離1.2mにしてはトーンもピントも良い。これで完成としよう。

☆この手の木製一眼レフ第三号だが、大きめのカメラバッグに収納でき、ロールフイルムが使えるので、ちょっとしたレンズテストにも応用できる。持ち歩きが楽なカメラは出番が多くなるが、その点で合格である。距離形式の簡便さも捨てがたいが、必要ならライズ程度のアオリもピントグラスで見ながら使える一眼レフは機動性が高い。ピントグラスは曇り空程度までなら十分使えるが、普通絞りなので暗いところではルーペが必需品だ。


MenuTop