MAMIYAPRESS Super 23 & 23 Standard

610さんから頂いたジャンク詰め合わせ、その中にマミヤプレスがいろいろ入っていた。ほとんどまともなものから、距離計などを取り去った改造途中と言うものまで揃っていた。

その中に23のスタンダードとスーパーがレストアして使えるレベルだったので、もったいないから再生に廻した。



おそらく逆さに落ちたスタンダード。距離計が怪しいがその他の機能は生きている。と言うより、蛇腹もヘリコイドも無いただの箱なので、マウントがあり、フイルムバック接続部がついていれば、ファインダーと距離計がなくてもピントグラスで使える。



距離計の調整は前から左右や傾きなどを行う。ファインダーはシンプルなもので、パララックス矯正はマークのみ。



上下合わせはこのネジで行う。



軍艦部のカバーは板金してパテ盛、研ぎ出し、塗装とほぼ車のリペアのように行った。



スーパー23の方はファインダーが曇ってずれていたが、何とスペアの新品距離計が入っていた。一帯どこから仕入れたものなのか、感謝して交換。



調整であっさり完動品になる前の段階。こちらはパララックス自動補正のためにヘリコイドとの連動レバーが二本ある。



完成図。元は銀だが、手持ちの関係で半艶消しの黒になった。つけてあるレンズは以前に作ったシャッターつきピンホールレンズ。フランジバックとほぼ等しい約70ミリだから、69とすればそこそこ広角になる。へこみボードを作れば、50o程度までは出来るかもしれない。



手持ちでそのまま使えるプレスの揃い踏み。左から23スタンダード、中央と右はスーパー23、ついているレンズはスタンダートが90o3.5、スーパーが100o3.5、それに名機として名高い50o6.3と、150o、前に転がっているのは65o6.3だが、これは画質が悪いので使っていない。



本体で見るとずいぶん違っているのがわかる



後は似たようなものだ



スーパーにはバックアオリがあり、接写にも重宝である



接写用のスペーサーを取り付けたところ。このくらいの距離まで寄れる。スーパー23でアオリを使うともう一段寄れるのだ。もちろんこの場合には三脚とピントグラスが必須である。



こんな具合に見える。意外に明るいので、3.5の開放でもちゃんと使える



買って30年使っていなかった三脚アダプター。三脚穴を移動させて干渉を避ける部品だ。サイドには縦位置の三脚座もあり、もちろん他の機種でも使える。
その他画面では割愛したが、多くのレンズ、フードやRBシリーズのフイルムバックを使うアダプターなどいろいろ揃っていて、立派なシステムカメラである。全紙程度なら余裕の画質と信頼性があり、手持ちでもピングラでも自由に使え、もっと見直されて良いカメラである。

《追加記事》

ファインダーの完全清掃を行ったので追加する。



スーパー23のファインダーは前側が分解しにくい。分解は先ずネジを外すのだが、フレームマスク部で廻せないタイプがある。その場合は全て分解するのは避け、赤矢印のネジを外すとこのようにマスクの横からアクセスできる。
この部分は差し込み式だからネジを外す必要は無い。軽く緩めれば外せる。



レンズは二枚組みだ。横から軽くカシメられているので、枠を少し広げて、ゆっくりこじれば分解できる。



接眼レンズは周りの皮を剥がすと4本のネジがある。それを外せばこのように分解される。裏表や組む順序に注意しよう。間違えると極端に見難いことになる。



一台のマスクの動きが悪いので分解した。錆などをきれいにして、シリコンなどですべりを良くすれば直る



きれいになった前玉



新旧ニタイプを並べてみた。マイナーチェンジはあるが互換性あり。しっかり作られているので、整備すれば問題なく見やすくなる。もちろんその後の二重像の調整は必須だ。ピントグラスと矛盾しないように調整する必要がある

《試写》

モノクロ比較テストはピントが今ひとつ怪しかったスタンダードは避け、スーパー23に67ホルダーを装備し、90oと100oをつけて行った。フイルムはプレストである

90o3.5





100o3.5




このサイズだからどちらも申し分ない。わずかに100oの方がコントラストが高い印象はあるが、混じってしまったら見分けはつかないだろう。

フジのプロ800ネガカラーを入れた方は、モルトの劣化で光漏れがあり、満足なものではなかった。以下はかろうじて使えた100oのもの





それでもピントの良さなどはわかるだろう

☆フォーマットの強みを生かしながら、手持ちで写せるカメラとして信頼性が高い。最短距離に近く、絞りを開けたものでもピントの心配はなかった。絞り込めばきっちりコントラストも出る。画質も申し分なく立派なものだ。

観光地や学校の集合写真など、失敗の許されない場面で活躍した確実なカメラである。一号は30年以上前に中古で手に入れたが、今もきちんと使えるのは、頑健なボディとがっちりしたつくりにある。名機と言えよう。

このカメラについて、リンクしているMATIAさんのマミヤプレスファンクラブが詳しい。掲示板にたむろする猛者たちは、「何でそこまで知っているの?」レベルの面々で、ここでわからないことはおそらくマミヤでもわからないだろう。使い方その他何でもたちまち答えてくれる。マミヤプレスに興味ある方は一度は覗いてみることをお勧めする。

610さん、良いものをありがとうございました。

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