FUJICR 35EE

フジカの35シリーズ、これは35EEなので、シャッター優先の絞りオートができるタイプだ。



スタイルはこの頃の35シリーズ共通で、レバー巻上げは下部にある。巻き戻しは90度振ってサイドにある。このおかげで大きな露出計とピントリングを軍艦部に組み込めるスペースが生まれている。



フジノン4.5p、F1.9はこの時代の名レンズの一つだ。カリカリではないが周辺まできちんとしたピントで、コントラストはトーンジャンプが無いから一見は穏やかだが、実は途中の諧調をしっかり再現する優れもので、つぶれが少ない。



距離計はSEなどと同様に、プリズムを使った豪華なもの、基線長も長く精度が高い。



残念ながら今回手に入れたものはプリズムが剥がれていた。こうなるとまともに見えない。プリズムの45度の片面にはハーフミラーの蒸着があるが、これが痛んでいるので再利用は無理だ。



機構的には退化したことになるが、一般的なハーフミラーに改造した(簡単に書いたが、大きさと位置合わせはきわめて面倒)。これで何とかファインダーが使えるようになった。



露出計は大型で、明るさに応じた針の振れをカムで絞り位置として伝え、シャッターを押すトルクで絞り込むタイプだ。一応使えるがシャッター速度を伝える部分が不安定で、あてにならない。完全なマニュアルが可能なので、ここは触らずにおいた。



大型で堂々とした押し出しである。向かって右にあるボタン型のレバーは、シャッター速度をバルブにする時のロック解除であると判明。EEが連動しなくなるのでご操作を防ぐためだ。



ほとんどSEと変わらない。





きれいなケースとほとんど使われていないフードが付属していた。この時代の富士の専用フードはコニフードと並んで質感と作りが良い。はめ込み式だがきちんと付いてがたつきなど無く、専用なので違和感がまったく無い。

《試写》

いつものアクロスにて



薄暗い日陰だがしっかりしたもの



絞り開放1/60秒、至近距離



車のガラス越し、手前の車は動き出している

☆改めてレンズの良さを感じた。テスト撮影は意地悪なものだが、全てきちんと出てしまった。さすがこの時代の一級品である。このレンズは今も十分第一線で使えると思う。独特の操作性には異論があるかもしれないが、慣れで解決できる。間違いなく名機だと思う。


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