LOMO CHAJKAV



インダスター69・28oF2.8は傑作レンズだと思う。時にハーフとは思えない鋭い切れ味で驚かされる。ソ連物の特徴でもある彩度の深い色、モノクロではこのボディーのどこにそんな力があるかと驚く諧調の確かさ。只者ではない。



今回は露出計を背負ったタイプ3である。特に大きな問題は無いが、巻き戻しノブが空回りする時があり、軍艦部を開いて見た。露出計が連動式ではないから、ネジ2本と三脚座兼用の太いネジを外すだけであっさり分解できる。

見慣れたシャッターコントロール部が出てくる。ただし、露出計の指標と連動するシャッター速度変更のために、少しデザインが異なるが、レバーで廻されるとシャッター駆動バネをチャージし、レリーズされるとその部分が解放されて次の巻上げに入る単純素朴な構造は変わらない。もちろんツルマキバネによるスローガバナーも共通だ。



軍艦部の中に露出計とファインダーが組み込まれている。



光が当たると針が動き、一番外側のリングでシャッター速度を変更すると追針もそれに連れて動く。内側のリングにも連動していて、その速度に応じた絞りを読み取るようになっている。一番内側のノブはフイルム感度の設定用だ。
針は動くしそこそこ正しいようだが、印刷の文字が読みにくいので、試写ではあてにしなかった。



巻き戻しスリップはここで起きる。スパーギアの頭のネジが緩むと歯が外れやすくなる。また、矢印の平板バネはギアを外れにくくしながら巻き戻しのフリクションを出しているので、ここの位置も巻き戻しに影響する。



さすがにこの時代になると内面反射防止の塗料が塗られている。2型などとまったく同じレンズとマウントで互換性がある。







露出計とアクセサリーシューを乗せたおかげで、巻上げは底部に移動、シャッターからバルブは消えた。シャッターボタンは四角に変わっていた。2型と違ってウラブタストッパーが確実になったのは良い点だ。

《試写》

あいにくの秋雨の中、手早くテスト撮影してみた。フイルムは期限切れのKODAK E100Gで自家現像に付き、色の出方は参考にならない。







ベルビアとインダスターだから、雨でどんよりしていても彩度が高い。
モノクロは間に合わなかったので、レンズがまったく同じ2型を使ったものから再掲載する。





☆2型からあちこち変わったのは、露出計を組み込んだためで、本質は変わらない。2型のすっきりしたスタイルと、軽快感が失われ、どこと無く野暮ったい。しかし写りは本物で、人気が低い分安いから、写すためならお勧めのカメラだ。ハーフだからというイクスキューズ無しで作品を語れる。単純なつくりなので、メンテナンスさえしていれば信頼に足る道具である。


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