KONICA EYE & EYE2



コニカ・アイは何度も記事にしている。理由は・・・気に入っているからに他ならない。
今回は2型も整備したので、二台まとめて比較してみた。いつもより詳しいのは、最近物忘れが激しいので、自分用の整備ヒントとして書いた。(笑)

もちろん、実際の整備ではここに書いたようにあっさり直るわけではない。経験と観察、正しい道具と慎重な作業が必要なのは言うまでも無い。日本のファミリーカメラ、使う人はともかく、機械として芸術的な構造を持っているのだから。

☆アイはF1.9、アイ2はF1.8、わずか0.1のことだし、標記を変えただけかと思ったら、ちゃんとレンズの前玉の大きさが違っていた。わずか1ミリ強だが2の方が大きい。



アイは先月に使っていたら突然露出計が動かなくなった。その時は夜景なので、フラッシュモードとバルブで対応したが、普通の撮影は出来ないので分解してみた。以前に整備しているので、露出計以外は壊れる理由が不明だ。
結局は、露出計の断線とわかった。これはどうにもならないので、手持ちのジャンクから露出計ごと中身を乗せかえることにした。露出計だけの交換は一体型なので面倒すぎるから、不調なシャッターの整備も必要になる。

アイ、アイ2ともこれらの整備では前板からはずす必要がある。先ずはセレン部またはCds部を分解してハンダを外す。次に軍艦部と底板、張り皮を外し、ファインダーも外す(シャッター速度指針に注意)。
前板を止めているネジ4本を外すとレンズ部がヘリコイドごと外れる(レンズは分解の必要なし)
次にシャッターボード周りの4本のネジのうち向かって左上(シャッターボタンのリンクのところにキリカキあり)を緩め(外さない)残りの三本を抜けばシャッターアセンブリーが露出計ごと外れる。ただし、露出計のファインダー側の下で位置決めしているネジがあるタイプもあるので注意。
これでそっくり前に外れてくる(アイ2では電池ボックスもあらかじめネジを外すこと)

《EYE》ほぼ同じ構造なので、アイ2の写真あり



矢印のはずみ車の回りと、シッャター開閉レバーの動きが悪い。ここを整備の重点と見た。もちろん羽根も油が廻っているので清掃する必要がある。



予想通りシャッター羽根はこの通りだ。油が廻ると確実に故障する。黄色の印のところには両者をつなぐ形の薄板が入る。これを忘れると羽根の作動不良になるので注意
シャッター羽根の整備では、シャッター速度などの設定リングを外さなければならない。よく観察するとキリカキで外れる構造がわかる。この時に動きを規制し、クリック位置を決めている部品を片側だけネジを外して動かすと良い。これを外すと組むのが大変だ。こうするとシャッター羽根を押さえているリングを外すネジが全て廻せるようになる。
シャッター羽根だけでなく、それのハウジング部も良く油を取り去り、できれば液体で無い潤滑材(鍵穴の薬など)で滑らかにすると良い。最高速をきちんと出したければ必須の作業だ。

シャッター羽根はこの写真の通り固定側と可動側をピンリンクで行うバリオタイプで、駆動ピンのストロークでシャッター速度と絞りのコントロールを兼用している。従って、シャッター速度は完全に露出を決めてしまう構造だから、被写界深度はシャッター速度で決まってしまう。現実にはハーフの深度の深さもあり、バックをぼかすのは至難の技なので実害は少ない。



作業中に矢印のファインダー用の指針を曲げたり折りやすい。注意が必要だ(これは折って覚えた・笑)



これは底板の内部になるところ、シャッターセットと巻上げのリンク部である。ボードを組み込む時はこれらのバネの位置に注意が必要だ。間違えると、巻き上げられない(黄色)か巻き止めが効かなくなる(ピンク)。分解前にしっかり確認すべし。また、バネを飛ばしやすいので注意。外しておいて組んでから掛ける方が作業しやすいが、バネの扱いはなかなか難しい



清掃と給油が終わったので、仮組みして作動確認。矢印のところで針が振れ、段カムの動きを光に応じて規制するようなら良好だ。ここに挟むようにすれば、マニュアルで設定できる。完全に露出計が壊れ、スペアが無ければそういう方法も意味がある。今回は一時そのようにしようかと考えたが、直ったので止めた



組み上げて最終確認、ちゃんと動いている。前板や軍艦部を組むと接触などで動作不良ということがあるから、この確認は欠かせない



完了図

《EYE2》



不動のジャンクアイ2、最近daddyさんが気に入られて愛用されている。スペアとして保管していたが、気になったので整備してみた。
矢印のところに電池ボックスが新設されている他は違いが無い。2型を1型にするのは可能だ



露出計は位置固定になり、Cdsの感度設定部からの電圧で動くようになっているが、それ以外はほとんど変わらない。ただし、感度設定はレンズの前に移動している



こちらもバラバラになった。作業としてはアイとほぼ同様である。Cds、電池ボックスへの配線が多いだけだ



こちらはシャッター羽根よりはずみ車の固着がシャッター不動の原因だった。外して洗い、組み立てたら直った。ここの分解は構造と動作が良くわかってから行わないと、ジャンクに止めを刺すことになるので不用意に分解しないこと



電池を入れ無くても段カムを挟むところにドライバーでも挟めば、各速度で作動するか確認できる。ほぼ直ったようだ
このアイ2はファインダー指針の動きが悪く、低速は表示が出にくいが、実速度はちゃんとしているし、シャッターロックも作動するので良しとした



本当に良く似ているが、ロゴの違いが目立つ。どう考えても1型の方がおしゃれだ。2型はC35のミニチュア的か(大きさはほとんど等しい)







《試写》

二台を一本のフイルムで通して写してみた。フイルムはアクロス、現像はSPD
《EYE》







《EYE2》







☆どちらも遠景はそこそこ程度、しかし近景は立派なものだ。非常に厳しい条件でもちゃんと記録している。私の節穴の目ではこの二台の描写の違いはわからなかった。
使い勝手もほとんど同じだ。露出の修整には巻上げ部に近いところに設定があるのアイの方が便利だが、写しているうちに勝手に動いてしまうトラブルもある。暗いところでの露出計の作動だが、私の使用状況でははっきりした違いは見られなかった。ハーフにしても巻上げ角度が少ないので巻上げトルクは大きい。また、スプロケットが片側なので、すべりの悪いパトローネだとパーフォレーションが切れてしまう。自家詰めのフイルムでは注意が必要だ。

本質的に同じカメラ、デザインなど好みで選ぶ程度の違いだが、どちらも優秀なハーフカメラであるのは間違い無い。ヘキサノンの良さを感じられる機種である。


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