KONICA PearlW



ステレオカメラで縁が出来たSさんのもの。シャッター故障でそれは業者に依頼したが、全体が上手く組めないとのことで引き受けた。一度は写してみないと何とも言えないから、パール最終型の味見を兼ねて引き受けた。

分解されていたヘリコイドは、給油して組み込むのには手間だけかかった。技術的には難しくないが、合いマークが消えてしまったと言うことで、手探りの組立だ。幸い、数回目で組むべき溝が見つかったので比較的簡単だった。



これにて一件落着と思ってダミーフイルムを通したら、感触がおかしい。巻上げストップが効きにくく、二重露光防止のストップが不要なところでかかる。軍艦部を外して様子を見た。



原因は油切れと巻上げ軸についているカウンター用のギアの磨耗だった。欠けたギアは作れないので、給油で動きを軽くして、無理にまかないように注意すると、何とか13−14枚は写せるから、さしあたりこのままで使うことにした。ジャンクがあればそれと乗せ替えるしかないだろう。



国産スプリングカメラとしては、蛇腹の材質が良い。もちろん作られたのが他の機種より新しいと言うこともあろう。





距離計連動の仕組みはスーパーフジカ6など同じで、長いリンクで距離計に伝えている。



《試写》

アクロスにて撮影した。



パンフォーカスを狙って絞りは11にした。周辺までしっかりした画像だ。



ボケの感じを見たくて4にしてみた。



中心部。実はしっかり解像している。



中心部はほぼ最近接。非常にフラットな条件だが、合焦部はしっかりしている。

☆さすがに最終型だけあって、スプリングカメラの曖昧さは無い。メンテナンスし続ければ長く使えるカメラだ。V型までと異なり、右に変わったシャッターは押しやすい(それが駄目だと言う人もいるが)できればボディー側でレリーズできると良いのだが、これはケーブルレリーズのみ使える不思議な構造だ。

レンズの評価は難しい。もちろんレベルは高いが、、全体に明るい感じがする。トーンの出方が違うのだ。T型のF4.5のような重厚感が少なく、平均的になったように思う。カラー時代が近い頃で、そのためのチューニングがされているのかもしれない。

鋭いピント、逆光に崩れず周辺落ちしない明快なコントラストは現代レンズの美点だろう。このカメラはその基準にほぼ達している。では使い続けたいかと問われれば、私は否と答える。そういうカメラは他にもっと使いやすいものがいくらでもある。このカメラで無ければならないもの、それが見つからなかったので所有する意義は見つけられなかった。
不思議なことだが、評価の高いシリーズで私にとって一番好ましいのは、ほとんどがその初期型(レンズが変わった場合)だ。何故だろうか・・・


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