Goltz MENTOL ComperFlex
このカメラ、ダブルネームどころかダブルダブルネームで正式名はどれなのか良くわからない。とにかくゲルツが作ったメートールの一つで、一眼レフだがフォーカルプレーンではなくコンパーを使った木製レンズシャッター一眼レフだ。これもSコレクションの逸品。
シャッターは動くが一眼レフとして働かないので、先ずはレンズを外す。非常に深いところにあるので、こういうツールセットでベースを外した。
これが連動システム。シャッターレバーを押すと、まずプレスレバー(シャッターセットに関わらず開放するレバー)が締まり、次にミラーを持ち上げ、最後にシャッターをレリーズする仕掛けだ。ストロークは長いが、これで光を引くことなく作動が完結する。
69などにも使われるテッサーF=3.5 10.5cm。ただし、ピントは前玉回転式。
ピングラスとフードを外してみたら、ミラーは完全にアウトだ。
オリジナルと同じサイズに切り出す
古いミラーの下にはスペーサーが入っていた。良く見ると古葉書だ。内容はよく読めなかったが、名古屋の赤門通りの侘美写真機店とある。そのあたりを地図で見てもわからなかったが、有名なカメラやがある辺りだからご存知の方もあるかもしれない。
かつてこの写真機店でこのカメラを整備したのだろう。何時のことかはわからないが、ミラーが既に交換されていると言うことは、少なくとも製造から50-60年は経過している。(粗悪な昭和30年代の二眼レフでも、ここまでミラーが痛んではいないことから推定した)
ピントフードの押し型ではメントール共通のロゴが入っている
塗装のはげと文字入れが薄くなって見えないので、少しタッチアップして色を差した。使ったのは水性ウレタンの黒と、ミナレリ師匠のお奨め、タミヤのエナメル塗料だ。
中央下に見えるのがミラーセットボタン。これを押すとミラーが下がり、シャッターは開放になるので一眼レフになる。
ユニークなのは、スポーツファインダーの場合はミラーはセットせず、ダイレクトにレンズシャッター式として使える。目測で間に合うならこの方が手ブレしないのではるかに使いやすい。
《試写》
テストはモノクロがアクロス、リバーサルはRDPVのいずれも自家現像にて
☆巧妙なつくりで、メンテナンスすれば今も使えるというのが素晴らしい。一眼レフとして三脚でじっくり合わせば機ハッ地理描写になり、フレームファインダーで速写もできる。69カメラとして実用性が高い。レンズシャッターなので高速シンクロも可能など実にユニークだ。
レンズはテッサーでも前玉回転のためか、よく言えばノスタルジック、悪く言えば収差が多くコントラストが低いが、十分実用レベルは確保している。
全体としてとても面白いカメラだ。69としてはまとまりが良くコンパクトと言えよう。