PETRI 35 2.8
SCRさんから飛んできたこのカメラ、あちこち錆びているが古いだけであまり問題は無さそうだ。
これは外観を清掃した後のもの。到着した時は錆だらけで惨めなものだった。案外良さそうに見えた機械的コンディションだが、ファインダーが曇っていてシャッターは怪しい。フルレストアを覚悟した。
先ずは軍艦部から始めるべく手術台にて観察。特にギミックはなさそうだ。
上部は巻き戻し軸の下にあるネジと巻上げ周りを外せばあっさり開く。
特徴的なグリーンの窓。一通り清掃したが、前の二枚あわせの中が曇っている。接着剤が大量についているから、無理をすると割れるおそれがある。ピント合わせができるので今回は分解しなかった。
次はシャッター。これも前玉をひねって外し、花形リングだけでここまで分解できる。
シャッターは羽根の油も多少あるが、スローガバナーの渋りが原因だった。バルブが効かないときがあるのは、印のところのアームにかけてあるバネが外れていて、きちんとシャッターをホールドしていないからと判明。掛けなおして清掃と給油で完了。
後玉が・・・カビでザラザラになっていた。拭いても取れないので、ちょっと裏技で磨いた。平面なのでまあ何とかなるだろう。
念のため、底部を開いてみたが特に特徴無し。
この状態で先ずは撮影したのだが、時々シャッターが切れなくなる。調べたところ、X接点に引っ掛かりがあり、これにぶつかって止まってしまうと判明、再給油とM接点固定で何とかなるとわかった。フラッシュは使わないから実害は無い。
オリコール、なんとも笑えるネーミングだが、小西六やマミヤなど同様、戦前からの老舗だから、この名前にも何か意味があるのだろう。当時の社名は栗林・・・オリコールとはちと違うか。
《試写》
ネガカラーはセンチュリア400、モノクロはARISTA100にて
ちょっと静かな印象の、素直な色だ。100のフイルムで雨模様なので、F4を主体に使ったが、周辺まできっちりピントが来る。曖昧さの無い抜けの良さを感じる。
こちらはピーカンだから絞り込んでいる。ここには掲載していないが、完全逆光でも破綻は無かった。
☆レンズが完璧では無いカメラを調整しながら写したから、完全なものならもっと良くなると期待できる。手動であわせるフイルムカウンターや、位置が使いにくいピントあわせなど完成度は低いが、機能として十分なものを持っている。カラーでは穏やかで誇張の無い発色を感じた。モノクロの光の再現性もシャドーが潰れたりハイライトが飛んだりせず、きちんとその場の光をフイルムのラティテュードに収め、周辺まで信用できるピントは期待以上だった。
このカメラが現役の頃、「ペトリ=安物」と避けていた私の幼稚さを反省した。これは良いカメラである。
☆SCRさん、良いカメラをご紹介いただきありがとうございました。まさに「勉強になりました」
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