RICOHFLEX HOLIDAY

昨年の夏から今年の1月まで、毎週必ず一台はレストア報告していたが、ちょっと飽きたのと仕事の都合もあり、 今後は減速すると仲間には伝えていた。その代わりに今年は「写す年」にすると宣言して精力的に写しているはず だったが、なかなかそうはいかいない。

今回のものはリコー・ホリデーである。茨城の方(T.K.さん)からシャッター故障について問い合わせがあり、いろいろお話していたが、 なかなか上手く行かないと言うことで、修理を引き受けた。国産二眼レフは大好きで、まあある程度はスキルが身についているから何とかなるだろうという判断だ。(仕事では無いから、この手の依頼は特別な事情が無い限りお断りしている。自分のものの面倒だけで精一杯だ。)

ついでにヤシカフレックス MODEL C とSコレクションのリコーフレックスVもまとめてレストアした。これらは既にいろいろレポートしているので、新しい記事にするまでも無いから一緒に掲載する。



シャッターが不調だと言うことで先ずは開いた。(以下の写真は、ほぼ同じ構造のリコーフレックスVのものを含む)



リコーフレックス(板金リコー)共通の、グリスが白く固まっている。まるで石鹸状態でヘリコイドの動きがカクカクして いる。ベンジンと竹串などで徹底的に清掃してシリコングリスをつけた



リコー独特の簡易型シャッターである。鎌形の大きなアームの先にシャッター開閉ピンを片道だけ引っ掛けるところがあり、そのレバーに待ったをかける簡易なスローガバナーを持つ。部品点数が少なく、磨耗には比較的強いが、スロータイムは書いてあるほどにはならず、最高速を主に使い、スロータイムはあてにしない方が良い。今回の整備後のテストでも、ホリデーもV型も高速は出るがスローは気のせい程度のディレイだった。同じようなシステムだが、リコー・キャディーのシャッターはきっちり低速が出ているから、このシャッター形式でも、しっかりしたスローガバナーなら問題ないものだと思う。

症状は油切れとシャッター開閉アームのバネの外れと判明、バネを掛けなおし、給油して快調になった





ホリデーは問題なかったが、V型は前板の皮が消えていた。型紙を起すのにこのタイプは「コピーする」という手が使える。 前板がそっくり外れるので、そのままコピー機に乗せると外形が原寸でコピーできる。それを元に切り抜いて現物合わせして修整、 その紙を型にして皮に貼り付けて切り出すと効率が良い



弱いスティック糊で貼り付けて皮の切り抜き完了、これを張ってピントを出しなおし、各部清掃で完成した。

RICOHFLEX HLIDAY







RICOHFLEX V



☆次はヤシカフレックスのレストア



スローが怪しく、時々動いていたがスタックしたとのこと。これは前板の皮を剥がさないと整備できない



皮は硬化していて、文字通りパラパラになってしまった。この時代の国産二眼レフの皮は極めて 材質が悪い。再利用できることはほとんど無い。



分解完了




故障はお約束どおりの羽根油とスローガバナーの油切れである。清掃と給油して完了



前板の連動部分はセルフタイマー以外は分解不要で、整備性が良い。組立もスムーズである



皮の張替え。こちらは型が取り難いので三分割し、アバウトで切り出し、位置決めに貼り付けた後にいらない部分を切り落とす方法で行った。目見当とわずかな段差を利用して切るので、手先の微妙な感触が頼りだから、数をこなさないとなかなかきれいにならない。

YASHIKAFLEX MODEL C



専用のレンズキャップにはロックがついている。落とす心配がほとんど無いので非常に優れている。

《試写》

リコー・ホリデーとヤシカフレックスはアクロスにて試写した。リコーフレックスVは割愛した。

リコー・ホリデー







☆実は、現像時に間違えてシュテックラー現像液のAのみで定着してしまったのだが、大きな補正もなくきちんと出た。私の撮影が下手でピンを外しているだけで、全く問題ない性能だと思う。

ヤシカフレックス







☆こちらは現像の失敗が無いのでよりきっちりしている。以前のリバーサルでの試写とは異なり、曖昧さの ない極めて上質な表現である。文句無い性能だ。

後日、T.K.さんから丁寧なお礼状を頂いた。立派に使えると言うことで喜んでいただけたようだ。リコーフレックスVのSさんもシャッターが快調でヘリコイドが滑らかに廻ると喜んでくれた。そういう話を伺うと、作業した甲斐がある。


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