ASAHI PENTAX 6X7

仲間のFBCさんがペンタッス67を救出してきたという記事が出ていた。なんと105o付で5000円にも遠く及ばない捨値で、あまりに可哀相で二台になったという話だ。それなら一台おくれと無心してしまった。



確かに無残な状態だ。皮は見事にカビ跡で白くなり、使っていれば痛むはずの無い場所まで錆びている。使われなくなって押入れに放置されていたのだろう。105mmはお約束どおりカビが蜘蛛の巣になっている。

ペンタ67、通称「バケペン」、つまりお化けのように大きいペンタックスと言うわけだ。私はこれが発表された頃、金持ちの友人が使い出したのを見て貧乏である事を実感したものだ。給与が10万に達しない頃、これはその2倍以上で、最低限レンズをそろえねばだったのだから、とても手が出るものではなく、「いつか手に入れるぞ」リストに入れて悔しさを封印した(笑)

銀塩カメラどころかデジカメさえ飽和している昨今、中判カメラの中古の値崩れが激しく、修理に高額が掛かる(と思われている)カメラは少しでも問題があれば捨てられるようになってしまっている。しかし、いくらなんでも可哀相だ。日本のカメラが世界のトップになっていく時の先兵たちを、そんな理由で見捨てて良いのかと思う。直せる限りきちんと直して使ってやりたい。





標準の105mmは組立式である。全てのレンズが分解できるから、整備は非常に簡単だ。某C社の全て接着しておいて痛んだらユニット交換などと言う消費者無視の構造ではない。

☆素人が分解すると光軸が狂い、まともに写らないと薀蓄を言う輩がいるが、全く根拠なしだ。日本の現代の工業製品の加工精度はそんなお粗末なものではない。きちんと組めば当初の性能が落ちるなどありえない。第一そんながたつきなど存在しない。マウント調整に紙をいれたなど戦後の物資不足の製品と一緒に考えるのは大間違いである。



組みあがり、目視でカビなどはなくなった。ホコリはわがウサギ小屋では完全に除去できないから盛大に入っているが、まあ使うのには影響ないから見えないことにした。



皮の塗装を直した。これはペンタプリズムで「使用前」「使用後」である。全体に汚れを落として塗装のタッチアップを行った。



同時平行でオークションで落とした55o、これはレンズキャップがなくて前玉にわずかな傷があるだけでとんでもなく安かった。かつては原付バイクが買える位のレンズだが、原付のタイヤ程度で手に入れた。

問題はレンズキャップだ。ダイソーでいろいろ探してこの入れ物に目をつけた。



キャプのネジ下で切り落とし、つばの部分を少しずつ削ってフィルターネジの大きさに近づける





レンズ側に削った部分ををきつめに入れるとほぼ完成。レンズ側にフタのアタッチメントが付き、キャップはネジで止める。アタッチメント部分は少し高くなるのでぶつけた時のショック吸収にもなる(ニコノスに採用された方式)もちろん黒のつや消し塗装をしてわずかだがフード効果も狙った



なぜか数日後に届いた200mm(笑)



ああ堂々の旗艦、でも意外に軽いので手持ちで写すのは楽しい

☆実は、試写後に10枚写せないことが判明した。前のオーナーが落としたらしく、120-220切り替え部が破損していて、フイルム送りが異常になっているのだ。一眼レフの内部は触りたくないし、メーカーが存続して対応している限り、プロの手に任すべきと言う持論のとおりペンタックスサービスセンターに問い合わせたところ、正式には部品枯渇で対応していないが、何とかなるかもしれないから見てくれるというのでこれは送り出すことにした。

・・・その間が寂しいので、外観はぼろだボロだが動くボディーを落札したのは秘密・・・

《試写》

まずはアクロス、ついでフジのプロ400でネガカラーを写してみた。写真が巨大なのは67の本質を見せるためなのでご容赦。120なのでアンシャープマスクは使用していない。ネガの色はスキャナ不調なので補正している



105o開放



8程度に絞った



200o、曇りで暗い。1/250秒8で撮影



105o5.6程度

55oは都合で掲載していない。今後「つれづれ絵日記」に掲載する予定

☆35o一眼レフの機動性と、120フイルムの圧倒的な画質を両立させたカメラである。文句のつけ様が無い。操作性はかつてのペンタックスのマニュアル一眼レフとほぼ同じ(シヤッターダイアル位置以外は)だから迷うところが無い。私は露出計はほとんど必要としないので、少しでも軽量のこのファインダーで十分だ。欲を言えばもう少しファインダー倍率が高いとより良いが、写しているときは35mmカメラとのギャップが無いので非常に楽だ。10枚(220だと21枚)はたちまち消費してしまうのが贅沢なところか。

今後、このカメラが勝負カメラになる気がする。

FBCさん、火をつけていただいてありがとうございます。nさん、写すぜ!

★それにしても、バケペン・RB・コニオメガ・フジカ690とかつての国産中判の精鋭が勢ぞろいしてしまった。良い時代なのか悲しい現実なのか。カメラ業界がアフターマーケットに乏しいデジタルなんぞに血道を上げているのは、自分で自分の首を絞めることなのに、流れにおぼれて再編淘汰の道を突き進んでいる。なんとも情け無い話ではある。


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