駒村 Convertible Horseman



企画は壮大だったが、基本形を出しただけで終わった見本のようなカメラがコンバーチブル・ホースマンだ。



Sコレクションにひっそりと置かれていたのがこれ。S氏は次々にいろいろなパーツが展開されるのを期待して、発表されるとすぐに買ったそうだ。しかし、待てど暮らせどこの発表に書かれていた追加部分は出てこないままで、いつの間にかその存在さえ忘れられていった。



きれいな個体だがさすがに経年変化で基本枠のモルトが駄目だった。清掃して起毛紙で直した。



62o5.6と微妙な数値のレンズ。トプコール名は無くホースマンとのみ記載されている。中判用としては細いレンズだ。35o換算では24ミリに近い画角である。



左のレバーでシャッターチャージ、右でレリーズとまるでフジペットの高級版だ。フジペット違うのは、フォーマットが69なのは別として、ピント合わせができてシャッター速度が選べ、フイルムバックを交換式で使えることくらいか。


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フレームファインダーはまさに枠だけ。見る位置でずれるが、視野率は低いからフレームアウトは先ず無い。



《試写》

使い慣れたアクロスで実施した。最初は光漏れがあったので、実際には数本試している。



展望塔の上から



富士山の定番スポットから



第二東名橋梁部現場(富士市神戸・ごうど)



三枚目の細部



現場の鉄板

69ということもあるが、すばらしい切れ味だ。ハイライト基準で写してもシャドー部の描写はきちんと出る。目測でも不安の無い描写性能である

☆現在の状態で判断すれば、非常に写りの良い広角専用高画質スナップカメラという感じだ。構想のようなレフボックスが出たとしても、フランジバックから見てこのレンズは対応できないだろう。レフボックス付がハッセル、こちらがSWCのような位置になったのかもしれない。つまり、このままではフイルムバック以外を共用する可能性は薄い。35o一眼レフの性能が上がり、中判カメラは特殊な存在になりつつあった、つまり過渡期の試行錯誤の一部が市販されたのだと思う

中判広角スナップカメラとして、手持ち主体で使うのが最も妥当なところだろう。そう割り切れば、良いレンズ性能を生かして使うのが面白い。。

Sさん、実に珍しいものを手に取って写せました。ありがとうございました。


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