FUJI GX680

一つの前のGX680VSに嵌まった。エバトム学説、「気に入るといつの間にか増殖する」はまさに核心を突いていることを実感する日々である!

まあ冗談でなくこのシステムは私には一つの究極と感じる。本来はフィールド撮影用ではなく、スタジオカメラというべきだろうが、これを外に持ち出した私は、このカメラのポテンシャル、徹底的に精密で正確な描写をクールだと思う。



GX680、このカメラの初期型だ。フロントスタンダードは一通りのアオリ機能を持つ。ライズ・フォール、スイング。、ティルト、シフトと範囲は狭いが全てある。もちろん三脚を使わない限り使える機能ではないが、必要とあらば煽っても使えるというのは好ましい。スナップでは意味ないが、建物やブツ撮りには便利だ。常に使うわけではないが、車が四駆であるのは安心であるのと似た気がする。



ここにフイルム面の明るさを知る受光部がある。AEファインダーを使わない場合は撮影後に2段以上の露出過不足がある場合に警告音を出す、のである。ちょっと間抜けなデバイスだ、



T、U、V型があるから、部品の互換性が気になる。ジャンク二台で組むついでにいろいろ調べてみた。T、U型はほとんどのものが共用可能だ。V型は電源(バッテリー、AC電源、単三ホルダー)、レリーズ、フイルムバックが異なる。V型に旧型のフイルムバックを使うことは可能だが、逆は使えない。フロントスタンダードは形が違うが両者で交換可能で、シャッターもちゃんと動く。ファインダースクリーンは共用、ファインダーフードはガタが出やすい片側ロックの旧型と、両側ロックのV型で異なるが、ちょっと加工すれば使える。

VS型はレールとフロントスタンダードの間隔が狭く、他の型のフロントスタンダードは取り付けられるが激しくライズして実質的につかえない。改造すれば不可能ではないが、ここの趣旨に合わないから記載しない。



とにかく電気接点が多い。どれが導通不良でも動かなくなる。常に清潔に保つ必要がある。専用バッテリーはチャージが非常に早いのは良いところだが、撮影可能本数は、バッテリーの状態に大きく左右される。スペアバッテリーや単三ホルダーは必須だろう。(

《ショルダーストラップ》

初期型は持ち出すことなど考えなかったようで、アイレットもフックも何もない。あくまで手持ちをメインにしたい私には、極めて使いにくいから、強引に作ることにした。



いきなり完成図。最初はL型アングルかコの字型アングルを作り、下に固定して高い位置に穴をつけようかと考えたが、右手に集中した操作部の邪魔になる。固定的なものは避け、約30oのベルトを廻し、片側だけたまたま開いているネジ穴を利用して周り止めにする方法にした。4キロ超の重量だから、万が一にも切れない、外れない強度が目標だ。



下部はベルトを切らずに、三脚のクイックシューアダプターで挟んでいる。アダプターが本体に接する面にあるゴム板を半分にして、固定用のネジでベルトに穴を開けて固定した。強度は十分だし、三脚にもこのまま対応するから安心だ。



右側はどこも固定していない。肩から吊り下げると、右側ストラップはシャッター速度変更ノブなどに軽く接触し、意外にも不安定にならない。写す時はストラップに頼らなくても良いので、これで持ち運びは劇的に楽になった。
ダイアル類を取り囲むような枠を強度のあるもので作り、その上下にストラップを接続すればベストだろうが、さしあたり困らないからこのままだろう(笑)

☆しばらくこの状態で使ったが、上のガイドが一つだと安定度が悪い。何とか反対側にも付けるべくジャンクボディーで検証してみた。





右サイドはシャッターと電源のノブを引き抜き、印刷されたシールを剥がすとその下に数本、レールの近くに二本のネジで止められている。これで外れるが、サイドカバーにはフラッシュテスト用や、シャッター速度変更ノブ近くなどについている押しボタンは全てカバーに止められていて、そのまま外すと抜けて落ちるから、記録するのとセロテープなどで雁止めする必要がある。これを怠るとパズルになるから忘れないこと。

開いてみれば中は基盤だらけだがスカスカだ。複雑な感じは無く、電子回路に強い人なら機構の解析は容易そうだ。ミラーボックスとフォーカシングレールが一定サイズあるので、その周りはどうしてもあいてしまうのだろう。

予想通りカバーはプラスチックで、強度がないから力をかけるのは無理だ。本体フレームで固定ポイントになりそうなのは矢印のところのみ。



向かって右下から本体フレームに穴を開け、上のプラスチックにも穴を開けることにした。それらの穴にリングを入れれば、強度が出て使えるだろう。ここなら蛇腹にもノブ操作にも影響しない。(V型がここにフックを付けているのは似た構造だからと推定できる)



蛇腹や鳥居を外して穴あけ。切りくずが落ち込まないように幅広テープでカバーした。アルミなので簡単に開いた。この後、上のプラスチックカバーにも穴を開けた。



完成形。リングは苦労したが予定通りの位置に入った。ここから吊り下げベルトを縛ると回転止めになる。試用した結果は良好で、ごく普通に肩にかけて運べるようになった。もちろん撮影時は首から提げて二眼レフ同様の写し方が出来る。もちろんこういう改造はメーカーのサポート対象外になることを覚悟して行う必要がある。真似る方は自己責任でどうぞ(笑)

《試写》

レンズは前回報告したVSと同じなので、アオリ効果テスト画像を載せる。フイルムはプレスト




ライズ。左端の携帯電話の中継塔の傾きが違うのがわかる




スイングとシフト。絞りや距離は同じだが、ピントの合う範囲が異なる

面倒なのでその他のアオリは割愛(笑)

☆使い勝手やレンズなどはVSとほとんど変わらない。実質的には同じように使える。ピントノブのストッパーが少し甘い程度だ。ショット数が出ないとか、ホルダー単独でフイルムの一枚目のセットができないなどは私には全く関係ない。素晴らしいレンズと本格的なアオリを正立画面で見ながら使えるのがありがたい。

最近は相場が激しく下がっている。かつての最高級中判カメラが、今ではジャンク価格とは悲しい。ともあれおかげで3台確保できたので、当分は遊べるだろう・・・つくづく病気だと思う・・・

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