TOPCON HORSEMAN 970

「ホースマンのきれいなのがジャンクで出てます」とPhotographer noBu さんから情報をいただき、三島まで出かけて入手した。35oカメラにはほとんど興味を失った私だが、ホースマンと聞けば血が騒ぐ・笑



店には非常にきれいな個体が待っていた。早速手に入れて確かめるとヒキブタが欠けている以外は30年以上前のカメラとは思えないほど良いコンディションだ。ヒキブタはマミヤプレスのものが少し削るだけで使える。ジャンクのホルダーから拝借して上下と巾を削って調整し、スタンバイとなった。105oF3.5のトプコールとバック二個、ピントグラスがセットだったが、グリップとストラップはついていなかったので、ストラップはホームセンターから強力なベルトを調達して作った。グリップは手持ちのものの改造で使えそうだし、シャッターはダイレクトで切れるから特に問題なし。



フロントスタンダードにはほとんどのアオリ機能がついている。ライズ・ティルト・スイングが可能で、フォールは無いがプレスタイプ独特のベッドダウンでフォールも実質的に可能だ。できないのはシフトのみ。



フォーカシングベッドには専用レンズの無限遠ストッパーが並び、カム式の距離計連動部が付けられている。これをほぼワンタッチで交換することで距離計の連動が容易にできる。ストッハーをずらし、カムを自作すればその他のレンズにも対応(約60oくらいから望遠構造の400o程度まで)することが可能だ。この下に距離計カムのホルダーがあり、2種類を入れられる。この個体には65o用と180mm用が付属していた。



ファインダーは距離計と別体で、画角を示す枠がいくつも見えるので、お世辞にも見やすいとは言えない。スナップなら各レンズ専用の別ファインダーを付けるべきだろう。




バックはホースマンシリーズ共用ホルダーやピントグラス、4×5の取り枠などいろいろ取り付けられる。使いにくいがバックアオリ兼接写用引き出し機能があり、方向性は違うが同時代のライバル、マミヤプレススーパー23と似ている。

《試写》

テストは間もなく(2010年3月)消えるプレストにて



仕事場の窓から



富士山定点撮影スポットから



富士川の雁がね堤から

☆このところ大きなカメラを使っているので、軽くて畳めばコンパクトだと感じた。この形式のスピグラなどと比較すると、全て金属製で剛性感が高い。各部の操作性はまずまずだろう。ライズはノブで上げるので使いやすい。ピントグラスとホルダーの架け替えはちょっとやりにくい。距離計は見やすいが、ファインダーは前述のとおりフレームが多すぎで見やすくはない。
レンズは以前にテストしているが、明るいことコントラストのある良い描写で、トプコールのよさを感じる。

☆トプコン・東京光学のカメラは今まであまり縁が無かった。トプコンの35o一眼レフは最初の一眼レフがニコンFだった私から見るとちょっとゲテモノ(偏見だった)、ホースマンはプロ用でアマチュアが手を出すものではないと思っていた。DPショップの友人が証明写真や複写にこれを使っているのをしばしば見て、あんな複雑なものは私にはとてもつかえる物ではないと感じた。

 レストアでいろいろなカメラに触れて来ている今は、どんなカメラでも多少は冷静に判断できるようになった。形式やフォーマット、ブランドや世評など評価の根拠にはならないと知った。いつもの被写体をいつものように写し、自らの目と感性のみを頼りに判断するしかないと思い知った。使い込んで見なければ使いやすさを言うのは間違いと知った。

 常用カメラとしてはこのままでも大きな不満はないが、使い慣れた画角の65oがあればベストだろう。人気が高くて高価なので手が出ないのがちょっと残念。

noBuさん、良いカメラを紹介していただきありがとうございました。

戻る