ZEISS Miroflex

またまたレア物のテストを依頼された。ツァイスのミロフレックス、木製折りたたみ式一眼レフカメラである。製造されたのは1927年だから、80年以上前、ドイツのカメラがツァイスイコンに次々と統合された頃のもの。



テッサーのf=13.5p、3.5のレンズ。ノンコートだがいかにも写りそうなバレルレンズの顔をしている。ヘリコイド付。

シャッターなどは整備されていて、このまま使えると思うということで預かったが、一通り機能を点検した。



折りたたんだ状態から開く途中。完全に開くとピントグラスが中から立ち上がってくる構造だが、その周りから光漏れがある。ピントグラス周りの皮が浮いていて、その隙間から光が入る。剥がれかけていた皮を接着しなおし、ほとんど入らないようになったが、まだごく少し漏れる。可動部なので外観に影響しない修復は難しいと判断、テスト撮影時はごく細いパーマセルテープで周りに目張りすることにした。



反対側も同じ構造だがこちらはしっかり遮光できていた。



シャッターセットノブ、実にきれいな細工だ。最高速は1/2000秒



収納状態



一眼レフ状態



クラップカメラと似た形だが、ファインダーが立ち上がるから一眼レフ。本体の右上はミラーをセットするノブ



固定されると強度は十分



フレームファインダーで目測スナップに対応する



本来は6.5×9のシートフイルム仕様だが、古いタイプの汎用ロールフイルムホルダーで69仕様になる

《試写》

室内主体だったのでプレストにて実施



5.6だから開放に近い。ピントは浅いがきちんと解像している



ごく暗いので開放で1/20秒(ケースの上において固定)

このカット以後、シャッターが不調になってしまった。先幕が巻き取りすぎでシャッターを切ると下半分が開いたままになってしまう。同時にシャッターの動きが遅くなり、残念ながら以後はまともに写らなかった。セルフキャッピングのフォーカルプレーンシャッターの連携がずれてしまったと推定。以前に調整した人で無いと、シャッター幕の連携位置などわからないので、内部には触らず返却することにした



この通り画面上部は全く使えず、シャッター幕の動きが悪いのでぶれている

☆故障はともかく、1927年と今から一世紀近い前にも関わらず、巧妙なシステムである。この時代のものとしては実用性が高く、テッサーのきちっとした描写は良い結果を残してきたことだろう。シャッターを直せば今も風景撮影などにしっかり使えるものだと思う。

Sさん、今回も楽しませていただきました。巧妙で面白いカメラでした。ありがとうございます。


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