OLYPUS PEN EE3
久しぶりのオリンパスペンである。このカメラが何時、どこから来てここにあるのか定かではない。正直な所、単焦点かつ固定焦点のハーフカメラに、どれほどの力があるかと見くびっていた。
しかし、otonyanさんの報告を見て、なかなかのものだと思った。近距離なら遜色なく使えそうだ。自分で写さないと何も言えないので、実行してみた。
D.Zuiko 1:3.5 f=28mm はペンの中でも廉価版、2.8のものより被写界深度が深いので、固定焦点で設定されている。
カウンター部はオートリセットで、中央のノブでのスタート合わせはいらない。
底部は極めてあっさりしている。
内部もごく標準的である。
☆特に壊れた所は無く、そのまま使えるのでレストアは不要だった。掃除のみ簡単に行った。
《試写》
被写界深度を稼ぐため、TX400にて写してみた
この距離では申し分ない。比較のために同時に写したフジカドライブのものと並べてみる。
{ペンEE3}28o F3.5
{フジカドライブ}28o F2.8
(共通データ)左は距離60センチとして撮影、ペンは露出オート、フジカはf8の1/300秒にマニュアル設定、右は無限遠(もちろんペンはピント固定)人物はペンの方が30メートルほどカメラに近い。以後の処理は同じタンクで同時に現像し、スキャン設定も同一
☆この比較を見て、ペンの固定焦点が健闘しているのに先ず驚いた。仔細に観察すると、ペンのピントは3メートル前後で、その場所の解像力はしっかりしている。さすがに絞っていても遠距離は明らかな差がある。これはレンズ性能と言うより、まさに「ピンが合っていない」からだろう。しかし、実用的には大きな差は無い。さすがに設定外の近距離では負けるが、これは問題にならない。普通のポートレート距離では十分使えるし、負けていない。
諧調表現は両社のポリシーを反映しているように思う。ペンは暗部が強めに落ち、一見のコントラストを上げてくっきりはっきり感じる。対してフジカは光の強さを素直に再現する方向で、ハーフと言うより中判や大判レンズの雰囲気がある。
前者、ペンは時代的には逆だが、コンパクトデジカメ風、後者、フジカは印画紙に焼くのが狙いかなと感じる。発売当時の国産フイルムの性能を考えれば、前者が一般受けしたのは当然だろう。ただし、今のフイルムで考えるなら、私は後者の素直さに軍配を上げたい。もちろん、あくまで好みの問題であって、優劣の比較ではない。
ここまで書いてふと気がついた、我家には報告していないペンがまだある。なんだったっけとごそごそしたら、EE2が出てきた。レンズやシャッターなどのスペックは同じだし、本体写真だけ並べても良いのだが、写さないで物申すは間違いだと経験しているので、急遽掃除して実戦投入した。
OLYPUS PEN EE2
ペンの廉価版、固定焦点で28o3.5は変らない。
皮と前の窓部の色がグレーで、いかにもペンらしい。後期のペンは黒くなったが、独特のグレーは馴染みやすい。
カウンターは自動復帰だが、3のものとは少しデザインが異なる。
ウラブタがEEの分解式から蝶番による通常タイプに変った。
このアングルだと2と3の見分けはつかない。
このタイプになって、フイルムの交換が楽になった。
《試写》
フイルムはARISTAのプレミアム100を入れて見た。
得意な距離
この位の距離になると苦しい
「比較用・ペンEE2」
「比較用・ミノルタ、レポ(TX400)」
この比較で、同じ場面なのにネガでの濃度分布が異なり、ペンは暗い方が強くなっていた。フイルムの特性もあるが、コントラストを高めて強く見せる方向だった。固定焦点で100のネガだと絞れないから、遠距離のピントは来ていない。このためにピント調整があるペンEESが設定されていたとわかる。近距離での解像度はほぼ同等と見た。諧調は下の方が省略気味である。ネガカラーで分かりやすい絵を作るのが固定焦点のペン、気軽なお出かけカメラという所か。そういう使い道がはっきりしたカメラだ。