RICOH 500Delux

こちらもフォトグラファーnoBu さんから預かっていた数台の一つ。ちょっと難ありだったので整備してテストしてみた。



シャッターは正常だったが、フィルター枠が変形しているのと、シャッター清掃をしたいので前を分解した。



角度が悪くて損傷がわかりにくいが、矢印のところが見事に変形している。今時のカメラなら致命傷になるほどの衝撃だったと推定されるから、固い所に落としたのだろう。



以前に Restoring-Tips で紹介した秘密兵器、フィルター枠をネジの力で直す道具を使った。さすが専用工具だ、あまり気にならない程度に修復できた。



ついでにシャッターを開く。きれいなので軽い給油のみ。



ここも落ちたことでの変形。傷が深いので完全には無理だが、まあ少しはましになった。





軍艦部も開く。側面のネジの一つが+ネジに変えられていたので、雰囲気の合う―ネジに戻した。誰かが一度は開けているのだろう。古いカメラに+ネジは使わない気遣いがほしいものだ。



典型的なトリガー巻上げのリコー500スタイル



このリケノンは1:2.4という半端な表記。0.1を争った時代の産物か









トリガー周りに注油したら操作がとても軽くなった。

これで完了と試写したのだが、どうもいくつか気に入らないので、再度開いた。





第一点はこれ、ファインダー。外すのが面倒だしプリズムだからきれいにするのは限度があるのと、外した後の再調整が非常に面倒だと思っていたが、矢印の所が外せると気付いた。入っていたのはアルバダフレーム用の反射鏡とレンズで、ここを清掃したら視野が極めてすっきりした。



右肩の凹みを寄り丁寧に直した。現物はこの写真よりずっときれいになり、目立たなくなった。テープは組立時にシャッターボタンが落ちないように貼っている所。簡単な処理だが組立が楽になる。これが無いとホットシューの接点が落ちるので必須。



フィルター枠の凹みにもう一度トライ。ほぼ直った。傷はごく細かいヤスリで全体を削って修整。

《試写》

テスト撮影はアリスタPremium100にて。ネガカラーは後日つれづれ絵日記に連載予定(撮影済)









 光の条件がきついのに立派なものだ。逆光では多少のフレアーが出るが、許容できる範囲に収まる。驚いたのは解像度で、実に精密に周辺まで再現する。当時のレンズとしては第一級品の一つだろう。

 500シリーズは同じスタイルでレンズが微妙に異なる。F2.4と2.8との差は無きに等しく理解に苦しむ設定だが、非常に高性能なレンズで、またまた「リコーに外れ無し」の格言を再認識する結果となった。整備したのでトリガー巻上げはスムーズで、慣れれば比較的速い連続撮影が出来る。質感が高く、まず文句なしのカメラである。

☆フォトグラファーnoBu さん、これも大変楽しめます。ありがとうございます。


戻る