NIKON FE

 久しぶりの35o一眼レフ、それもニコンのものだ。と言っても王道の一桁ニコンではなく、ニコン党にはあまり珍重されていないFEという所が私らしいか。

 時々行く中古カメラ店のジャンク棚にあった。外装は使い込まれているが、内部やファインダーはきれいで、大きな損傷は無く、故障していたら分解練習用にしようかと引き取ってきた。



 電池を入れたらシャッターは特に問題なく動く。露出計はちょっと怪しいがまあ正しい値を示している。この機種の弱点は、レンズマウント部の摺動抵抗部が接触不良になり、露出がおかしくなることだそうだ。気が向いたら接点を掃除しようかと思う。私はカニの爪だけの古いニッコールがほとんどなので、オートは使わないから、絞込測光でシャッター値が読めれば十分だ。



 巻上げ時にストッパーが戻らず巻上げできなくなったりしたが、大した故障ではなく注油で復活した。少なくともテスト中には巻上げトラブルは起らなかった。底板の変形を少し直そうかと思ったが、ネジが一本完全に舐めていて、どうしても外すならドリリングが必要なのでパス。



開放測光=AE時の露出計異常は、素子の劣化や抵抗の接触不良ではなく、このタイプ特有の絞り値を内部に伝えるリングの戻りが悪いことが原因だと判明。リングが重く、絞り込むときはついて行くが、絞りを開けてもリングのみ残り、絞りが開いたことを内部に伝えていない。マウント部を軽く分解して注油してそこそこ動くようになった。









《試写》

試写は下に述べる理由から割愛しようかと思ったが、一応添付する。フイルムはラッキーSHD100を200−400として 撮影し、高温現像を試すのに使った。意図的に粒子を出す手法なので、この結果はあくまで一例に過ぎない。レンズは旧 ニッコールの20mmと100o







☆一眼レフでレンズの描写はほぼ意味が無い。レンズは信頼できるボディーに装着して、個々に語れば良い。カメラの評価と しては総合的な使い心地や機能がポイントだろう。

☆一桁ニコンの高級感は全く無いが、なかなか使いやすい。セミオート露出のFEシリーズやOEMのFM-10をマニュアル のFMシリーズより下に見る傾向があるようだが、写すために手にするのなら、その見方はクレバーではない。意外に見やすい ファインダーとわかりやすい操作は問題とする部分が無い。つまり、マニュアルにおいて劣る部分は無いと思う。 それでAEで使えるのだから、カメラとして良く出来ている。

 巻き上げレバーの予備角が露出計スイッチを兼ねるのはわかる仕様だが、シャッターロックまで兼ねるのは余分だ。 左目でファインダーを見る私には使いにくい。個人的にはAEならシャッター優先が好きなのでちょっと惜しい。試写後に 巻上げ出来ない状態になり、良く見たら二重写しレバーが中途半端になっていた。もう少し節度が欲しい。

 結論・質感は別として、ちゃんと使えるカメラだ。


December 2011


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