CHINON Bellami

 チノンのベラミはユニークな前カバーでとても人気がある。過去にテストしたチノネックスの写りはなかなか良いから、一度試してみたいと思っていた。しかし、人気者だけになかなか手が出ない。35oカメラはこれ以上増やしたくないと言う気持ちもあり、これまで積極的に探すことは無かった。

 先日、仲間のプー博士がブログで作品を出していたので、一度経験させて欲しいとお願いした所、快く承知してもらえたので今回の報告となった。



 ベラミとは、大辞泉によれば、「モーパッサンの長編小説。1885年刊。才能もない美貌(びぼう)の青年デュロアが、女を利用して栄達していくようすを描いた、自然主義小説の典型的作品。」だそうだ。はるか昔に読んだ気もするが、記憶が定かでない。まあ、「浮気者のちょっと良い男」というところか。ちょっと退廃的で粋な奴と言う設定で作られたのだろうか。





 シャッターレバーを撮影状態に引き出すと、観音開きに開く。35o2.8のレンズが覗いていて、距離は目測を鑑筒の指標に合わせる。露出はプログラムでマニュアル補正はフイルム感度の変更によって行う簡潔なシステムだ。



 後からはごく普通のコンパクトカメラのスタイルだ。



 このカメラは電池ボックスのフタを落としやすいので、オーナーはテープで固定している。



☆大きさの比較用にリコーR1-sを並べてみた。リコーよりわずかに幅が狭く、厚みがあるが、リコーのソフトケースにぴったり入る。煙草との比較でもわかるが、とても小さい。大きさで同等なのはミノックス35シリーズだろう。本体がプラスチックなので軽く、ポケットに入れていてもそれほど負担にならない。

《試写》

 試写は拝領したコニカミノルタのセンチュリア400で先ず行った。期限切れを考慮してフイルム感度を低く補正し、現像を押したら濃過ぎるネガになって、カラーバランスが狂った。ネガカラーは必ず補正が必要なものなので、色は参考まで。







これはコダックの安売り100だけど、使用期限内。







以下はプレスト。同時に同じプレストで写したフジカドライブに比べてぐっとアンダーだったのが不思議。







☆色は濃い。周辺落ちは相当あるが、トンネル効果で主題が際立つから、日の丸構図の私には使いやすい。ピントは35oとしてはごく普通か。近距離はすっきりとしているが、遠景がちょっと弱い気がする。

 小さくて使いやすく、期待以上というのが正直な感想だ。大きさやカタログデータで似たものは、ミノックス35シリーズだが、ミノックスはちょっと硬い描写、チノネックスは少しそれより暖かい感じがした。ごく普通のファミリーカメラ、散歩カメラとしてちょっと写すのに不足は無い。遠景も実用的に問題ないから、サブカメラとして使いやすい。

 あえて短所を言うなら、フイルムセットがしにくいこと、巻上げがちょっとゴリゴリしているところか。細かいことだが、連射したい時にちょっと不安を感じる。また、巻き戻しの感触はフイルムエンドが外れるクリック感が少なく、ベロを出して巻き取りたい自家現像派としては気になった。

 全体としては、凝った外観に使いやすさが同居した良いファミリーカメラだと思う。


楽しく使わせていただきました、ありがとうございます。>Dr.Phoo


April 2012

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