Zeh GOLDI


About "Goldi" made by Zeh (Camerapediaより引用)


Zeh was a German camera maker during the 1920s and 1930s, based in Dresden.
Their full name was either Zeh-Camera-Fabrik or Paul Zeh Kamerawerk depending on the source.

ツェーは、1920−30年の間に、ドイツのドレスデンに存在した会社である。フルネームは製品に記載されたものには「ツェー カメラ製作所」または「ポール・ツェー カメラ会社」のどちらかを表記している。




   20世紀初頭のドイツには多くのカメラメーカーが存在し、進んだ加工技術で多くのカメラを生み出している。この頃のカメラは普及期に入っていたから、活発に合従連衡を繰り返していたが、第一次大戦後の不景気やナチスの台頭から、多くが巨大国策会社(ツアィス・イコン)にまとめられて、個々のブランドは消えていった。

 Zehは日本ではあまり馴染みが無いメーカーだが、戦前に既に消えた会社の一つだからである。今に伝わる代表作は、127で34フォーマットのこのゴルディーが有名で、多くの会社にOEM提供されている。



 このカメラはSコレクションで数年前に頂いた。本体には「MADE IN JERMANY」「GOLDI」「Feca」と記載されている。レンズは Zecnar Anastigmat F:2.9 50mm で、前玉回転式の三群構成(おそらく三枚玉)である。

 実は大きな異常が無さそうだったので、以前にテスト撮影した。その結果は全て被っていて大失敗。しかもピントは全く合っていなかった。ちょっと調べたが良くわからず、根気を保てずに放り出していたのだ。



 先日、セミネッターを整備していてふとこれが気になり、今度はしっかり検証した。(写真を撮るために調速カムリングは外している)

 被った理由は、タイムレバー(赤印)がシャッターレバーに引っかかり、シャッターレバーを押している間シャッター速度に関係なく羽根を開いてしまうことにあった。これは黄色印の部分がシャッターリングのキリカキでキャンセルされきらないことにあった。本来はT、Bのときのみ作動すべきが、水平に構えるとタイムレバーに引っかかっていた。なお、青い部分はレリーズでシヤッター開閉を命令する部分。

 普通、シャッター整備は部品の落下を避けるために、レンズを上に向けた方向で行う。古いシャッターではこうしないと部品が外れるものがあるし、シャッターセットリングがずれたら作動しないコンパーでは上に向けなければ整備できない。今回はこの状態で作動良好でも、普通の撮影状態にするとタイムレバーが引っかかってしまうのだった。

 旧コンパーラピッドは、常にシャッターレバーがシャッターを強制開閉するようになっていて、B、T以外はそれをキャンセルする構造だ。よってシャッターセットせずにBとTが使えるわけだが、今回はこの構造が裏目に出た。
 わかれば対策は簡単、この部分を少し曲げて確実に動作するようにするだけ。なお、ピントズレは単純にヘリコイドの設定が狂っていた。目一杯締めこんで無限と言う簡単な位置だった。シャッターは完全に洗い、ごく少量の給油をした。



 絞りは10枚、絞り込むときれいな形になる。白い粉はボロン粉末で、余分は吹き飛ばした。



 旧コンパーラピッド、きちんと整備したら1/500秒を除いて許容速度になった。(1/500秒はエクストラバネを追加するタイプ。古いカメラのこの手の最高速について、各部をいたわるために私は使わないことにしている。出ても1/350秒程度だから、1/250秒が正確なら写すのに困ることは無い)











 フォールディングは等長クロスメンバーによるが、フタの開閉を兼ねるガイドがある。非常にスムーズで、平行を保ったまま出てくる。勢いが良すぎるので手で規制する必要があるほどだ。収納は上下のレバーでロック解除すればすっきりしまえる。ロックがしっかりしていてこの手の蛇腹ではもっとも良く出来ている一つだ。

《試写》

 試写はプレストにて



最初の一枚は光が入ってしまった。蛇腹の折れ目にわずかの傷があったので、水性ウレタン塗料で内外から強化して対策した。







☆多少のカブリやフレアーがあるが、全体としてはすっきりした描写だ。周りのムラは後から気がついたが、経年変化でアパーチャー部の反射防止塗装が剥がれて光っていたことによる。三枚目はこのあと激しい雨になる沈鬱な景色だったが、遠景までくっきり出ている。ノンコートのこの時代のレンズでこれだけ出るものはなかなか無い。

 使い勝手が良くてごく小型(KONICA C35と大きさがほぼ同じ、厚みは鏡筒分少ない)だからポケットに入れることさえ可能だ。127フイルムというハンデはあるが、スナップにも遠景にも耐える。これからも現役として使える耐久力も含め、ドイツカメラ畏るべしを感じた。

《謝辞》

 Sさん、復活まで時間が掛かり報告が遅れましたが、実に良いカメラです。ありがとうございました。


May 2012

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