Takahashi GELTO DV (Silver GELTO)


About my restoring


 このファイルはNo.350である。レストア報告350番(p350)を期して、そのままになっていたテスト報告一覧を整理してみた。各ジャンルの機種数は以下のとおり。

  分類  台数
135距離計機(目測機を含む)205
135ハーフカメラ26
120二眼レフ61
135一眼レフ17
127等廃判、ほぼ廃判フイルム機17
120フイルムカメラ(二眼レフを除く)78
大判、改造機、手作り機、分類不能機種 21
 合機種計数425

 掲載洩れやマイナーチェンジ機種はほとんど報告していないので、私が触れたものはもう少しあるが、概ね430機種(約500台)という所だ。

 コレクションなら言うほどのものではない。手元に全てあるというわけではなく、借り物や手放したものが多いから、自慢できることは唯一つ。全て撮影し、必要ならレストアしてインプレッションを伝えていることだ。

 これらの報告は、ビュッカーさん、HIROAさん、たかさきさん、610さん、そして多くの仲間に叱咤され、励まされ、貴重なアドバイスや情報をいただけた結果なので、心より感謝している。

 今後ともよろしくお願いします>各位





 さて、今回はシルバーゲルトだ。ゲルトの中で最もポピュラーな機種だ。ご承知のとおり、ゲルトはいろいろなマイナーチェンジをしているが、レンズは一貫して同じだし、基本も変わらない。私も既に一機種を報告している。



 きれいなもので、錆はほとんどない。全体の清掃と前玉のコバ塗り程度で十分だった。



 シャッターを見たいとちょっと開きかけた。普通とは全く異なり、シャッターリングはロックを外して捻ると外れる。ロックネジが調速カムから出ていて、これで連動するという不思議な構造だ。

 この写真のリングカバーは3本のイモネジで止められているが、緩めても外れないので分解はやめた。横から見る限りシャッターは問題ないから、面倒が見えているイモネジは敬して遠ざくだ。



 グリンメル 50o3.5











 ウラブタは分解式なので、フイルムの出し入れのやりにくさや平面性の不安は少ない。ファインダーの接眼部が非常に小さく、しかもピカピカ光って非常に見えにくいので、黒く塗った。

《試写》

いつもの通りプレストにて



ファーストカットは見事に光線を引いてしまった。これはカメラの責任ではなくて、フイルムの扱いがわかったから。5m程度に合わせてパンフォーカスを狙ったが、ピントはそこそこ来ている



車内から。外の明るさに合わせ、距離は前の車に合わせた



シャッター設定は1/250秒だが、人物はぶれている。確かに動きは速かったがシャッターの実速度は1/100秒出ていないと推測、後でテスターで実測したら、1/250設定から1/75設定まで変わらず、1/80前後だった。つまり最高速が全く出ていない。ここより下は許容範囲に入った。といってもせいぜい60パーセント程度の速度で、最高速にいたっては1/80秒程度にしか改善しなかった。


☆以前テストしたものも同様だが、34フォーマットは35mmカメラよりわずかに大きい。これを利した精密感のある写真をこのレンズに期待するのは無理がある。よく言えばほのぼの、悪く言えばどこにピントの山があるかわからない感じになる。

 もちろんシャッターが遅いのでオーバーなのと手ブレの影響が考えられるが、それでもちょっと甘いのは確かだ。外観的には目立つので、使っていて楽しいが、127フイルムだけに、面倒を越えて常用するのは、このカメラではちょっと無理かなと思った。

 ファインターは視野が狭すぎる。おまけに小さくて見えにくい。接眼部までピカピカ光るのは本気で写すためより、デザイン重視だからだろう。これが使い勝手という点で最もマイナスポイントだ。全体の質感は悪くないだけに惜しい。コンパクトさを沈胴で狙っているが、ファインダーは見え方が命なので、折りたたみ式の簡単なもので良いから、もう少し見えやすいものが望ましい。

 もはや一般的なカメラとしての寿命が尽きている127カメラだけに、しかもメーカーははるか昔に消えているのに批判しても意義が薄いが、もちろん使えないという意味ではない。それなりにちゃんと写る。ただ、フイルムをわざわざ切り出し、巻き変えてまで使いたいかと自問すると、あまりそう思わないという意味で、あくまで私見である。

May 2012

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